【フィジーク】審査基準・ポージング比較・勝敗の決め方を徹底解説!

 

「メンズフィジークってどうやって優劣をつけているの?」

「審査員はポージングの何を見て得点をつけているの?」

今回はそんな質問に答えていこう。

これを見ればあなたもメンズフィジークという競技がわかってくるだろう。

 

メンズフィジークの勝敗は〇〇で決まる

メンズフィジークでにおける勝敗はほとんどの場合ポージング審査で決まる。

そしてポージング審査では、

  • 筋肉の大きさ
  • 筋肉の大きさのバランス
  • いかに体脂肪が少なく筋肉が浮き出ているか
  • いかに体が逆三角形になっているか

がみられている。

立居振る舞いがどうだとか、笑顔がどうだとか言われるが、それらはあまり大きく関係してこない。

ポージング審査がすべてなのだ。



 

審査員の評価の仕方

では、審査員はポージングの際に選手のどこをみて審査をしているのだろうか。

各ポージングごとに評価の基準と方法を見ていこう。

 

フロントポーズ

フロントポーズではおもに

  • 腹(ミッドセクション)
  • Vシェイプ(逆三角形度合い)

が審査されている。

これらを見て審査員は評価をしていくのだ。



肩の筋肉はメンズフィジークにおいて最も重要な筋肉のひとつであり、肩が大きいと輪郭(アウトライン)がとても綺麗に写る。

腕と胸との間に溝が生まれ、一つひとつの筋肉がくっきりとわかりやすくなるのだ。

メンズフィジークでは、ひとつひとつの筋肉がくっきりしていた方が評価が高くなるので、大きな肩は高得点につながる。

他の筋肉が弱かったとしても肩の筋肉が強ければ審査員の評価は良くなるため、肩を鍛える人はとても多い。

写真を見て比べてみよう。

左:神谷選手、右:塚本選手

左の選手の方が右の選手よりも肩の輪郭がはっきり出ているのがわかるだろう。

形も丸く綺麗で、突出している。
これは肩の筋トレを丁寧にしっかりとやり込んだ結果だ。

こういう肩の形は、メンズフィジークではかなり高得点となる。

そのため、この2人を比べた場合は左の選手の方が肩の筋肉が発達しているという評価になるのだ。

 

胸の筋肉もメンズフィジークにおいてとても重要な筋肉だ。

胸に満遍なく筋肉がついているか、真ん中だけついていて上部と下部があまりついていないということになっていないかなどを見られる。

もちろん筋肉のつき方のバランスが悪いと減点対象になってしまう。

とくに上部と下部は筋肉が少ないと大胸筋の形が崩れたり、力強さを失ってしまったりするためとても重要な部位だ。

先程の2人の選手の写真を比べると、今度は右の選手の方が全体的に胸の筋肉が発達しているのがわかる。

上部と下部に関してははっきりとその差がわかるだろう。

左の選手は大胸筋の上部が若干凹んでいるが、右の選手にはそれが全くない。
胸の筋肉をくまなく極限まで鍛えなければこの胸の形にはならない。

このように全体的に分厚い胸の筋肉は高得点になる。

そのため、左の選手よりも右の選手の方が評価としては高くなる。

 

以下にペン入れしていない元画像を載せておくので、上で解説した肩と合わせてその目で違いを確かめてほしい。



 

腹(ミッドセクション)

腹は、フロントポーズにおいてとても重要な役割を果たす。

腹筋が綺麗に割れているかどうかで、フロントポーズの点数はまったく変わるからだ。

ここに関しては筋肉の良し悪しがよくわからない人でもわかりやすいだろう。

エドワード加藤選手

こちらの画像を見て欲しい。

これはエドワード加藤選手の2018年の時(左)と2019年の時(右)の写真だ。

見ての通り、左と右で腹筋の出かたがまるで違う。

彼は1年で腹筋をここまで成長させ、大会で勝てるようになった。
(元々かなり強かったか、さらに強くなった。)

ちなみに、言うまでもなく右の方が高得点だ。

 

腕の筋肉は、肩や胸に比べればさほど大きく評価には関わってこないが、体のバランスを左右する。

腕の筋肉が小さいと肩の筋肉が強調されすぎて、少し肩が浮いた印象になり、
反対に腕が大きすぎると肩が小さく見えてしまいアウトラインが綺麗に映らなくなってしまう。

とはいえ、他の筋肉の方が重要なので、ここでの写真での説明は割愛する。



Vシェイプ(逆三角形度合い)

はじめに説明した通り、メンズフィジークは逆三角形になっているかどうかがかなり重要視される。
(逆三角形の体のことをVシェイプという。)

とくにフロントポーズではVシェイプの具合が一番わかりやすい。

Vシェイプはウエストが細く肩幅が広ければ強調されるため、フィジーク選手はできる限りウエストを細くしたまま胸肩周りを大きくすることを求められる。

左の画像と右の画像では、明らかに右の方がVシェイプ(逆三角)の広がりが大きく出ているのがわかる。

これはポージングが上手くなって肩周りを大きく見せられるようになったこと、トレーニングによって大胸筋と三角筋が大きく発達したことが要因だ。

ウエストは細く、上部の筋肉が全て大きいとここまでVシェイプが強く出る。

そしてもうひとつの大きな要因は広背筋だ。

右の画像の方が広背筋の広がりが強いのがわかるだろうか?

正面から見て右側の広背筋は比べてみると明らかに違うのがわかるはずだ。

左側に関しては、よーく見ると右の画像の方が外への広がりが強い。
(とくに広背筋の上の方は、右の画像の方が外へと広がっている)

この辺りに関しては目が肥えていないと判断が難しいだろう。

しかし、審査員はこういう細かいところまで見ているのだ。

 

これもペン入れしていない画像を載せておくので見比べてみてくれ。

 



 

バックポーズ

バックポーズではおもに

  • 背中の凹凸・厚み
  • 背中の広がり
  • 脊柱起立筋(背中の真ん中)

を見て審査される。

フロントポーズに比べると比較が難しく上級者向けになるので、ここを1度読んでわからなかった場合は繰り返し読んでみてほしい。

 

背中の凹凸・厚み

体の正面とは違い、背中にはさまざまな筋肉が絡み合ってできている。

そのためバックポーズではいかに背中の凹凸が作られ、ひとつひとつの筋肉がはっきり出ているかが見られるのだ。

ただし凹凸があっても背中が薄ければ減点の対象となるため、分厚さも重要となる。

左の選手は、全体的に背中の凹凸は申し分ない。
これは減量で限界まで体脂肪を落としきった成果だと言える。
極限まで体脂肪を落とさなければここまで皮膚が筋肉に張り付くようにはならないだろう。

しかし分厚さという部分で言うと右の選手に劣ってしまうため、筋肉量で問題があったことや減量で筋量や筋肉のハリを失ってしまったのかもしれない。

反対に右の選手は凹凸があり、分厚さもかなりあるため全体的な総評としては右の選手の方が高くなるだろう。



背中の広がり

バックポーズでは背中の広がりが大きく評価される。

凹凸もかなり重要ではあるが、バックポーズにおいては背中の広がりの方が重要だ。

ライティングの影響もあるが、右の選手の方が背中の広がりが大きことがわかるだろう。

背中全体的な広さが右の選手の方があるのだ。

広背筋と呼ばれる背中の外側の筋肉は背中の上の腕のあたりに向かって広がっていくのだが、右の選手はこの広背筋が強く、ウエストの少し上からすでに広背筋の広がりが始まっている。

この選手は広背筋がとても強い選手で、背中が一番の強みだと言える。
も最も広背筋をよく見せるポージングの仕方を知っているのでそれも強い。

それに対して左の選手は筋肉が全体的に中心に寄ってしまっているので少し背中側に寄せすぎたポージングをしてしまったのがもったいなかった。

 

こちらも元画像を見て確かめてみて欲しい。



 

大円筋も重要

背中の広がりを大きく見せるためには大円筋も重要となる。

大円筋は下の画像でマルで囲んでいる部分だ。

少々見にくいかもしれないが、背中と腕の境目の部分(一番上の部分)が大円筋である。

左の選手の方が右の選手よりも大円筋が大きくなっており、ボリュームがある。

ここの筋肉があるのとないのでは審査員に与える印象がまったく違うのだ。

見ての通り、左の選手の方が右の選手よりも背中の広がりが大きいのがわかるだろう。
綺麗な逆三角形を描く美しいバックポーズだ。

 

バックポーズでは肩の筋肉が発達していないと、肩が埋もれやすい。

肩が埋もれてしまうとバックポーズでの輪郭(アウトライン)がはっきりしなくなり、形がいびつになってしまう。

そうなればもちろん減点対象になるので、肩の筋肉をしっかりとつけてアウトラインをはっきりとさせていく必要がある。

右の選手に比べると左の選手の方が筋肉の付き方のバランスが良く、形が綺麗なのがわかるだろうか?

あまり筋肉のことを知らない人だと、右の選手の方が出っ張っているため右の選手の方の方が良いと思われるかもしれないがそれは大きな間違いだ。

この2人の選手で言えば、左の選手の方が形が綺麗で筋肉量が多い。

肩が右の選手の方が大きく見える要因としては、左の選手に比べると肘の位置が低いからだろう。

肩甲骨を下げたまま肘を高く上げると肩は埋もれやすくなってしまうのだが、これだけ肘の位置を高くしても肩が埋まらずに綺麗に形が出ているのを見ると、左の選手はかなり肩の筋肉が強いというのがわかる。

 

こちらも元画像を載せておく。



 

脊柱起立筋(背中の真ん中)

脊柱起立筋(背中の真ん中の筋肉)は、背中の分厚さに大きく関わる。

脊柱起立筋があると背中に厚みが出て力強い印象になるが、脊柱起立筋があまりないと背中が薄くなり迫力がなくなってしまう。

これは武本選手の2020年(左)と2021年(右)のバックポーズの写真だ。

筋肉について詳しくない人にとってはわかるづらいかもしれないが、左よりも右の方が脊柱起立筋が強く、背骨のところの溝が深くなっている。

これにより右の方がより大迫力に見えるのだ。

ペン入れなしの画像を見ると迫力感の違いはよくわかる。

若干のライティングの違いはあるものの背中の縦のラインの分厚さは明らかに違い、右の方がより大きく見えるだろう。

とくに肩甲骨周辺に関しては、バックポーズの姿勢を取った時でも薄くなることなくボリュームをしっかりと残せている。

これはポージングを調整してより綺麗に見せられるようにしたということと、背中のバルクアップに成功したことが大きな要因だ。



サイドポーズ

サイドポーズではおもに、

  • 胸の厚み
  • Vシェイプ

が審査される。

しかし、サイドポーズは大会によっては存在しないため、ここでは説明を割愛させていただく。

 

これからはより細かく見てみよう

ここに書いてあることが全てわかるようになると、メンズフィジークにおける順位の決め方や何を基準に優劣をつけているのかがわかるようになる。

そうすればもっとメンズフィジークという競技を楽しめるようになるので、ぜひ少しずつでも覚えていってみて欲しい。

 

 

文・編集:月刊 MEN’s PHYSIQUE 編集部 (@gekkan_mensphysique)

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