体調を崩してしまうのは、誰にでもあることです。
とくにボディビルダーやトレーニーにとって、発熱時に筋トレするかどうかは悩ましい問題です。
ということで今回は「熱が出た時に筋トレはするべきか?休むべきか?」について解説していきます。
熱が出たら筋トレは◯◯しよう!
先に結論を言います。
熱が出た時は「筋トレを避けて休息を優先するべき」です。
理由はいくつかありますが、大きくは
- 熱の治りが遅くなり、質の低い筋トレの期間が長くなる
- 体に大きな負担がかかる
- 無理に筋トレすると筋分解する
この3つがあります。
それぞれの理由を詳しくみていきましょう。
1, 熱の治りが遅くなる
発熱は『体が感染症と戦うための防御反応』として起こります。
体温を上げることで免疫細胞が活性化し、病原体の増殖を抑えるようにしているのです。
しかしこの発熱時というのは、平熱の時と比べるとエネルギーの消費量が10〜20%も上がります。
それだけエネルギーが必要ということです。
そんな時にエネルギーを大量に使う筋トレをしてしまえば、免疫細胞を活発にするためのエネルギーがなくなり熱が治りづらくなってしまいます。
発熱時のトレーニングはやっても意味ない
しかも熱の時のトレーニングは頭がフラフラして、平熱時のようはパワーはまったく出ません。
集中力もなくなるので鍛えたところでほとんど筋肉に刺激はいかないでしょう。
そんな質の低い筋トレを少しでも早く終わらせたいなら、まずはしっかりと体を休め、療養に全力を注いでください。
少しでも早し、いち早く質の高い筋トレをすること。
それが最も筋肥大には効果的なのです。
2, 体に大きな負担がかかる
発熱時に筋トレを行うと体温がさらに上昇し、体に大きな負担をかけます。
普通の運動でも体温が上がって危険ですが、筋トレとなると体温が40℃を超える可能性もあるので本当に危ないです。
極度の体温上昇は熱中症や脱水症状を引き起こし、最悪の場合、命に関わるリスクもあります。
さらに熱中症や打水症状にならなかったとしても、症状が悪化する可能性があります。
心臓と血管にも悪影響が…
発熱時に筋トレを続けると心臓や血管にも大きな負担がかかります。
発熱自体が心拍数を上げて血圧を不安定にしますが、ここに筋トレが加わると、心臓へのストレスが大きくなります。
これによって、『不整脈や心不全などの心血管系の問題』が発生するリスクが高くなります。
とくに心臓に持病がある人や高齢者にとっては、命に関わることもある危険な行為と言えるでしょう。
無理に筋トレすると筋分解する
筋トレを休むことで「筋肉が分解されるのではないか」と心配する人は多いと思います。
実際、発熱時に筋トレを休めば多少は筋分解するかもしれません。
発熱でコルチゾールが増加することで、体がエネルギーを確保するために筋肉を分解してアミノ酸を作り出します(これが筋分解の原理)。
しかしこれは一時的なもので、体調が回復すれば筋肉は再び修復すると言われています。
ですが無理をしてトレーニングをすることの方が筋分解する可能性が高いです。
ではそれはなぜなのか、簡単に説明します!
無理な筋トレがカタボリックを進行させる理由
・コルチゾールが増加するから
発熱によって分泌されるコルチゾールはストレスがかかるとさらに分泌されやすくなります。
そのため熱があるときに無理に筋トレを行うとコルチゾールが大量に分泌されて筋分解が進行しやすくなります。
・エネルギー不足になるから
発熱中は体温が上がり、体が病原菌と戦おうとするので多くのエネルギーを消費するようになります。
そして筋トレは大きくエネルギーを消耗するため、十分なエネルギーがないと体は筋肉を分解してエネルギーを補おうとしてしまうのです。
しかも発熱している時というのは基本的に食欲が湧きづらく、食べれたとしても消化吸収がされづらい状態になっています。
そのため無理に筋トレをしてしまえばエネルギー不足に陥りやすく、筋分解につながる可能性がとても高くなります。
・筋肉修復の遅延
発熱によって体が疲弊していると、筋トレで損傷した筋繊維の修復が遅れます。
修復が不十分な状態で筋トレを続けると、筋肉はむしろ減少しやすくなることもあります。
休んでもあまり筋肉は減らない?
実は発熱した時は筋トレを休んで回復に専念することで、筋肉の分解を最小限に抑えることができます。
また体調が回復した後にまたトレーニングを再開すれば、分解してしまった筋肉は簡単に取り戻すことができます。
25〜40歳のトレーニング経験者500名以上を対象に「筋トレを中断した期間が筋肉に与える影響」を調べた研究では、1〜2週間の中断では影響がほとんどなく、3〜4週間で筋肉量がわずかに減少するが筋力は維持。6週間以上で筋肉量と筋力が減少するものの、再開後の回復は可能ということがわかりました。
(Effect of Resistance Training Cessation on Muscle Strength and Power in Trained Athletes in 2013)
早く治す休み方は?
じゃあどうやったら早く治すことができるのか。
それは、たくさん寝て治すことに集中すること。それしかありません。
早く治すのに特別な方法はないのです。
筋肉を減らさないようにするには?
よく筋肉を減らさないようにするために「熱が出ていてもプロテインを飲んだ方が良むべきか」という話がありますが、正直どちらでも問題ありません。
もし消化不良などを起こさないのであれば多少飲んでおいても良いでしょう。
ですが、体がきついのに無理して飲む必要はありません。
まずは体の回復を最優先にして休養と栄養補給をしていきましょう!
トレーニングはいつから再開して良い?
では発熱があった後はどのくらいからトレーニングを再開して良いのでしょうか。
よく言われるタイミングとしては「体調が完全に回復してから2〜3日後」です。
これは、体が完全に回復したと思っていても2〜3日間はまだ体が回復しきっていないことが多いことや、病原菌等がまだ体に残っている可能性が高いことが大きな理由になります。
そのため、理想としてはしっかりと体が治って2〜3日経ってから再開するのが良いでしょう。
ベストな筋トレの再開サイクルは以下の通りです。
期間 | 負荷レベル | 例 |
---|---|---|
1週間目 | 通常の50% | ライトウェイトトレーニング |
2週間目 | 通常の60〜70% | 負荷を10%ずつ増やす |
ただし、そこまで待てないという人も多いと思います。
そういう場合は体の状態をよく見ながら、再開していっても問題ありません。
その際には負荷を一気に上げすぎないように気をつけながら行なってください。
まとめ
発熱時に筋トレを続けるかどうかは、体にとって重要な判断ポイントです。
今回の記事でお伝えしたように、発熱時には無理をせず体を休めることが一番良いでしょう。
熱が出ている時は筋肉の維持に不安を感じるかもしれませんが、しっかりと休むことが筋肉の分解を最小限に抑える方法なので気にせずにまずは休むようにしてください。
そして、体が完全に回復した後にまたトレーニングを再開する時には、無理をせず段階的に進めていくことで、より体に負担をかけずに行うことができるでしょう。
それでは良いフィットネスライフを!
文・編集:月刊 MEN’s PHYSIQUE 編集部 (@gekkan_mensphysique)
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