今回は巷でとても話題になっている「フェイクナチュラル」についてご紹介します!
まずナチュラルって何?
まず筋トレ業界における『ナチュラル』というのはアナボリックステロイドや成長ホルモンなどのボディビルディング競技で使用が禁止されている薬物(いわゆるドーピング)を使っていない人のことを言います。
「ナチュラル=天然」、つまり科学力を使わずに自分の力だけで筋肉をつけてきたということですね。
フィットネス業界で最も使用されているドーピング剤は「アナボリックステロイド(=略してステロイド)」となっています。
ステロイドは筋肉に直接打ち込む”筋肉注射”が主流ですが、最近では”経口薬”なども出てきているようです。
それに対してステロイドなどのドーピングを使用している人のことをドラックユーザー、略して「ユーザー」と呼びます。
フェイクナチュラルとは?
そして『フェイクナチュラル』というのは”ステロイドや成長ホルモンを使用しているのにあたかも使っていないかのように振る舞う”こと。使っていないと嘘をつくことを言います。
今現在、筋トレ業界ではこの「フェイクナチュラル」がかなりの数いると言われており、一部から問題視されています。
なぜナチュラルだと嘘をついてしまうの?
ステロイドユーザーがナチュラルを名乗ってしまうのにはいくつかの理由がありますが、主な理由としては以下の2つとなります。
- 批判を受けないため
- ビジネスに繋げるため
- ステロイドの使用を公表することを認めていない団体が多いため
それぞれ詳しくみていきましょう!
1, 批判を受けないため
日本では、ステロイドを使っているということが知られると批判の対象になってしまいます。
実際、有名なユーチューバーやインフルエンサーなどがステロイドを使用すると「ユーザーだからそんなに筋肉が大きい」「自分の力ではない」「ナチュラルだったらゴミ」といった心無い言葉をたくさん浴びせられることになります。
さらには「ステロイド使うとか人として終わってる」「ステロイドで体大きく見せたいとか笑える」「ユーザーはメンヘラ」など、体や筋肉に対してだけでなく人格の否定をされることもしばしばあります。
ステロイドなどを使用すること自体は法律で禁止されていないので自由ではあります。
ですが、ナチュラルでやっている人にとっては科学力でどんどん体が大きくなっていく人を見るのは許せないのだと思います。
2, ビジネスに繋げるため
筋トレ業界では筋肉量が多いとビジネスにつながるケースが多いです。
例えば『トレーニングウェア』や『洋服』なども筋肉量が多い人が着ているととても格好良く見えるので「俺もこれをきたらこんなカッコよく見えるかな」と思い、買う人が増えます。
その他にも『プロテイン』や『サプリメン』トも筋肉量が多い人が使っていれば「俺もこのプロテインを使ったらこんな体になれるかも…」と思って買う人が多くなるでしょう。
youtubeやインスタグラムも筋肉量が多い方が映えるので、よりファンが付きやすくなります。
ですが、もしステロイドを使用していることが公になれば、一瞬でファンは減っていきアパレルやサプリメントの売り上げもガクッと落ちる可能性が高いです。
そのため、ナチュラルと偽ってステロイドを使用してしまう人が出てきてしまうのです。
フェイクナチュラルがよくやるビジネスには、パーソナルトレーナー、パーソナルジム運営、サプリメント・トレーニングウェアの販売やアンバサダー活動、youtuberなどがあります。
3, ステロイドの使用の公表を公表することを認めていない団体が多いため
日本国内のほとんどのボディビル団体は、ドーピングの使用を黙認している団体(ドーピング検査が無い団体)だったとしても所属・出場している選手に「ステロイドやドーピング剤の使用を公表することを禁止する」というルールを設けています。
それはいったいなぜなのか。
一つは「クリーンな団体」として世間に周知させたいと言うことがあります。
どんなスポーツでも「ドーピング使用OK!」と言うと世間からあまり良い印象を持たれないので、ドーピングを黙認していても「ドーピング禁止」を謳う団体が多いのです。
そしてもうひとつはいわゆる「大人の事情」。
もしドーピング使用を黙認している団体がドーピングの使用を公に許可してしまえば、世間体を気にするスポンサー側から契約を切られてしまうでしょう。
しかし団体として『ステロイドNG』というスタイルでいれば、選手のステロイド使用が公になった時でも、契約している企業は「知らなかった」で済みますし、団体としても「禁止しているのに選手が勝手に使った」と選手の責任にできるわけです。
もちろんこうなった場合、ステロイドの使用が公になった選手に罰則が与えられる可能性が高いです。
そのためステロイドを使用していても「言うに言えない状況」になっているのです。
実際のところ、こういった団体はドーピング検査が一切行われないので「ドーピング使用し放題」の無法地帯となっています。
その結果、現在では「ステロイドなくして大会には勝てないような団体」として認識されるようになってしまいました。
どこをみたら見分けられるの?
ナチュラルかユーザーかを見極めるポイントとしては以下の7つ。
- 異常に発達した肩や太ももの筋肉
- ニキビや肌荒れが多い
- 血管が出過ぎている
- ガイノコマスチア(女性化乳房)が起きている
- 顔がふくらんでいる
- 情緒が不安定
- 老けている
それぞれ見ていきましょう!
1, 肩周りや太ももの筋肉が異常に発達している
ステロイドは筋肉の成長を促進するので全体の筋肉が発達します。
その中でも僧帽筋、三角筋、大胸筋、そして大腿四頭筋といった部位の発達が強く、極端に分厚くなったり不自然なほど大きくなったりします。
2, ニキビや肌荒れが多い
ステロイド使用で男性ホルモンの過剰分泌が起こると皮脂の分泌が増加し、ニキビや肌荒れが発生します。
とくに背中や顔、胸周りに大きなニキビが目立つことが多く、このあたりが荒れているかどうかがステロイド使用を見極めるサインになります。
また肌全体が脂っぽくなり、スキンケアだけでは対処しきれないほどの肌荒れを引き起こす場合もあります。
3, 血管が出過ぎている
ステロイド使用者をすると、血管が太くなり、とくに静脈が目立つようになります。
ナチュラルな人でも血管が浮き出たりしますが、ステロイドを使用すると血管が異常に浮き上がり、まるで体全体に血管が張り巡らされているように見えることもあります。
4, ガイノ(ガイノコマスチア)が起きている
ステロイド使用により男性ホルモンが過剰に分泌されると、体がホルモンバランスを取ろうとして女性ホルモンを過剰に分泌し始めます。
その結果、男性なのに乳房が女性のように発達し太くなる「ガイノコマスチア(略して”ガイノ”)」が発生することがあります。
5, 顔がふくらんでいる
ステロイドの影響で筋肉がつきやすくなった結果、顔の表情筋も肥大化し顔全体がふっくらと膨らんだように見えることがあります。
とくに大量にステロイドを使用している場合、顔が不自然に大きくなる傾向が強く、周囲の人からも一目でわかるほど大きくなったりします。
6, 情緒が不安定
ユーザーはステロイドでホルモンバランスが崩れて、情緒が不安定になりやすくなってしまいます。
これは「ロイドレイジ」と呼ばれていて、普段は穏やかな人でも急に怒りっぽくなったり、感情を抑えられなくなったりしてしまうのです。
ステロイド使用者は人間関係が悪化しやすくなったり、SNSや大会の会見などで強い言葉を使うことが多くなったりすることがあります。
(もちろん、これは減量末期でエネルギーが足りていないという可能性も高いです)
7, 老けている
ステロイドを使用すると皮膚の弾力が失われ、肌が荒れて見た目が老けてしまったりします。
また、ステロイドがテストステロンをDHTに変換させることで抜け毛や薄毛が進行し”円形脱毛症になるリスク”も高まります。
これらの影響で、ステロイド使用者は急激に老けて見えるようになることがあるのです。
フェイクナチュラルの問題は?
ではフェイクナチュラルの問題点はどんなところにあるのか、おもには以下の通りとなります。
場合によっては違法になる
ステロイドを使うこと自体は合法なのですが、一歩間違えると違法になるケースがあります。
それは「ステロイド以外(筋トレやサプリなど)だけでデカくなった」と嘘をついて商品の販売をした場合です。
まだあまり前例はありませんが、ヨーロッパの国と地域によっては「ステロイドユーザーであることを隠してフィットネスのビジネスをするのは違法」になります。
とくに先進国などでその傾向が強くなってきており、その考えが広がりつつあります。
日本のフィットネス業界ではまだ法が整備されていないのでそのような取り締まりはほとんどありませんが、美容業界などで「このナイトブラをつけたらバストアップした」と商品を紹介した人が実は豊胸手術をしていたとして処分を受けているケースもあります。
今後、法がもっと厳しくなれば取り締まりの対象となる可能性もあるので気をつけなくてはいけません。
憧れた若者が使用してしまう
そしてもう一つ問題視されているのは、若者のステロイド使用者が増加していることです。
ステロイドは使うと短期間で大きく筋肉を増やすことができるため、一部からは「魔法」と言われています。(ステロイドユーザーのことを「魔法使い」と言ったりもします)
そんな魔法は少しでも早く大きな筋肉を手に入れたいと考えている若者の中にとっては夢のアイテムであり、ステロイドの使用に踏み切ってしまう人も多くなっています。
とくにフェイクナチュラルが多くなると「ステロイドを使ってもバレないんだ」「バレないなら俺もやっても大丈夫だ」と考える人が多くなり、結果として若者のステロイド利用を促してしまうこともあるのです。
そのため、今ステロイドを使っている人がその危険性をしっかりと伝え、ステロイドを使用する必要がない人には使用させないようにする動きが必要になるでしょう。
アナボリックステロイドは一般の方でも簡単に手に入ってしまいます。
使えば心臓機能・内臓機能・生殖機能・血管・メンタルなどにとても大きな影響が出ると言われているので、もしこれが蔓延してしまったらフィットネス業界は終わってしまうかもしれません。
最後に
この記事を見て、ステロイドなどを使っていないかのように振る舞うフェイクナチュラルにはたくさんの問題点があることがわかっていただけたかと思います!
フェイクナチュラルは、一歩間違えれば詐欺のようなもので人を騙しているようにも見えてしまいます。
ステロイドを使用するかどうかは個人の自由ではありますが、ユーザーであるにも関わらずナチュラルであると公言しステロイドで得た筋肉でビジネスをするのは色々な人の信用を失うことになるので気をつけてください。
それでは良いフィットネスライフを!
文・編集:月刊 MEN’s PHYSIQUE 編集部 (@gekkan_mensphysique)
※一部内容作成にAIを使用しています。
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