トップフィジーカーが大会中に行なうパンプアップメニューとは?
トップフィジーカーは大会中にどんなパンプアップメニューを行なっているのだろう?
そんな気になるトップフィジーカーの舞台裏について、月刊 MEN’s PHYSIQUE 編集部が実際にインタビューを行なったので、紹介しよう。
大会中のパンプアップはどんなメニューを行なう?
まず、実際に行っているパンプアップメニューを聞いていこう。
『チューブやプッシュアップバー、タオルで全身』
▼笠井大輔選手
(2021 FWJ Evolgear South Japan Championships メンズフィジーク オープン +175 優勝)
「パンプアップは、50分前に腹筋と腕(二頭筋、三頭筋両方)、40分前に胸、背中、20分前に肩をおこなっています。そして最後10分前になったら、各部位すべてを順番にパンプアップするという感じです。
チューブ、プッシュアップバー、タオルを使って全身のパンプを行なっています。タオルは補助する人がいる時に、背中や腕のパンプで使っていますね。」
『チューブやプッシュアップバーで胸・肩・背中・腕の4カ所』
▼武本淳楽選手
(2021 FWJ JAPAN OPEN メンズフィジーク オープン オーバーオール 優勝)
「パンプは、胸・肩・背中・腕の4カ所を行なっています。
背中はチューブで、胸はプッシュアップバーを使ってますね。バーを使ったプッシュアップの追い込みは、限界が近づいてきたらパーシャルレップでストレッチを効かせて追い込んでます。
肩は脚を持ってもらって股関節を90°にした逆立ちのようなカタチになって逆立ち腕立てのようなことをしてますね。
レイズ系はチューブと徒手抵抗、三頭・二頭もチューブと徒手抵抗で行なっています。パンプは基本、背中からはじめることが多いです。」
『チューブと自重で胸・背中・肩の3カ所』
▼栗本康弘選手
(2019 JBBF 関西オープン メンズフィジーク 優勝)
「パンプをやるのは、胸・背中・肩ですね。胸はプッシュアップ、背中はローイング、肩はサイドレイズとフロントレイズっていう感じです。ローイングとレイズ系はチューブを使って行なっています。プッシュアップはバーなどを使わずに床でやっています。」
『チューブとアブローラーと自重で上半身全て』
▼片岡秀誠選手
(2018 JBBF メンズフィジーク 兵庫選手権大会 1位)
「パンプアップするのは肩・腕・背中・腹・胸で上半身全て行いますね。肩はサイドレイズとショルダープレス、二頭がアームカール、三頭はトライセプスエクステンションで背中はローイング。で、この5種目に関してはすべてゴムチューブで行います。
そして、腹はアブローラーで胸は腕立てでそれぞれパンプしてるって感じです。」
基本的にほとんどの選手は上半身を全体的にパンプアップするようだ。
パンプアップしない部位はある?
トップ選手は全身をパンプアップするのだろうか?それともパンプしない部位もあるのだろうか?
その真相に迫ってみよう!
『とくにはない』
▼笠井大輔選手
(2021 FWJ Evolgear South Japan Championships メンズフィジーク オープン +175 優勝)
「パンプアップしない部位はとくにはありませんが腹筋はそこまでやらないです。アップの時に軽くする程度ですね。理由としては、腹筋はあまりパンプしない感覚があるのと、もし仮にパンプアップしてもステージ上で腹筋をコントロール出来ないからっていうのが大きいです。」
『脚と腹筋』
▼武本淳楽選手
(2021 FWJ JAPAN OPEN メンズフィジーク オープン オーバーオール 優勝)
「脚と腹筋はパンプしませんね〜。脚は余裕があればしてもいいかもしれませんが、審査基準に入らないので僕はしてません。腹筋はパンプさせるとカットが消えるのと、腹筋をやると疲れてステージ上でバテるのでやりません(笑)。」
『腹筋』
▼栗本康弘選手
(2019 JBBF 関西オープン メンズフィジーク 優勝)
「パンプしないのは腹筋ですね。理由はシンプルにやると浮腫んでステージに立った時に見栄えが悪くなるからっていう感じです。」
『脚』
▼片岡秀誠選手
(2018 JBBF メンズフィジーク 兵庫選手権大会 1位)
「脚はパンプアップすることはないですね。フィジークの大会中、大きな審査対象にならないので。」
ほとんどの選手は下半身はパンプしないとのこと。
人によっては腹筋もパンプしないみたいだが、それは個人差があるようだ。
一番入念にパンプアップする部位はどこ?
トップ選手が最もパンプアップに時間を使っているのはどの部位なのだろうか?
各選手の意見を聞いてみよう。
『胸と肩』
▼笠井大輔選手
(2021 FWJ Evolgear South Japan Championships メンズフィジーク オープン +175 優勝)
「胸と肩ですね。胸は普段のトレーニングからパンプするのが早くて、トレーニング開始20分くらいでもう最大パンプするので、大会中は、ゆっくり血流を流しながらっていうのを意識して行なっています。
肩も同じですが、ステージ上で力が入りにくくならないようにやり過ぎには気をつけていますね。」
『背中』
▼武本淳楽選手
(2021 FWJ JAPAN OPEN メンズフィジーク オープン オーバーオール 優勝)
「僕の場合、背中が張りにくいのでまず最初に背中をとことんやります。あとは付き添っていただいてるトレーナーに見てもらいながらパンプが足らないところをやっていくようなカタチです。」
『肩』
▼栗本康弘選手
(2019 JBBF 関西オープン メンズフィジーク 優勝)
「僕は肩ですね。ステージ上で一番デカく見せたいのが肩なので、かなり入念にやります。」
『肩と背中』
▼片岡秀誠選手
(2018 JBBF メンズフィジーク 兵庫選手権大会 1位)
「僕が意識してるのは肩と背中です。フィジークは肩幅が大事なので、ワイド感を意識してパンプアップしています。」
月刊 MEN’s PHYSIQUE がフィジーク選手に向けて行なったアンケート結果によると、胸を重点的にパンプすると答えた人が27名(40.9%)、肩が33名(50.0%)、背中が5名(7.5%)、その他が1名(1.6%)だった。
各選手意識しているのはやはり胸・肩・背中の3箇所だった。
だが人によってどの部位を特に大切にしているのかは違うようで、自分のウィークポイントを隠すか、ストロングポイントをさらに強く見せるかの2択になるようだ。
パンプアップはステージングの何分前から始めますか?
ステージに立つ何分前からパンプアップを始めたら良いのかイマイチよく分からないという人もいるだろう。
そんなアナタのために、トップ選手の意見を聞いてきた。
『50分前』
▼笠井大輔選手
(2021 FWJ Evolgear South Japan Championships メンズフィジーク オープン +175 優勝)
「パンプ自体は50分前くらいから始めますが、最初は体を温める事からスタートします。そして温まってきたら本格的にパンプさせる感じですね。」
『1時間前』
▼武本淳楽選手
(2021 FWJ JAPAN OPEN メンズフィジーク オープン オーバーオール 優勝)
「いつも1時間前から準備運動も含めてゆっくりはじめます。」
『30分前』
▼栗本康弘選手
(2019 JBBF 関西オープン メンズフィジーク 優勝)
「30分前くらいですかね。他の人と比べると遅い方かもしれません。」
『1時間前』
▼片岡秀誠選手
(2018 JBBF メンズフィジーク 兵庫選手権大会 1位)
「大体1時間位前で召集があってからですね」
月刊 MEN’s PHYSIQUE が行なったアンケート結果によると、大会中のパンプ開始時間はステージングの1時間以上前に始める人が4名(6.1%)、45〜1時間が27名(40.9%)、30〜45分が26名(39.7%)、0〜30分が9名(13.6%)となった。
パンプも少し意見が分かれるが、1時間前くらいから始める選手が多い。
人によっては30分以内と短い人もいるようだ。
パンプアップの順番はありますか?
パンプアップのメニューはわかったけど、どんな順番でやれば良いのか分からない?
ではトップ選手に聞いてみよう。
『腹・腕→胸・背中→肩→全体』
▼笠井大輔選手
(2021 FWJ Evolgear South Japan Championships メンズフィジーク オープン +175 優勝)
「先程とかぶってしまうのですが、順番は大体いつも同じで、ステージ立つ50分前に腹筋と腕、そして40分前になったら胸と背中、20分前になったら肩という感じです。最後10分前になったらすべてを順番に最初からもう一度行って、バランス良くパンプするようにしていますね。」
『背中→肩→胸→腕』
▼武本淳楽選手
(2021 FWJ JAPAN OPEN メンズフィジーク オープン オーバーオール 優勝)
「背中は必ずはじめにやってますね、1番張りにくいので。背中がパンプしたらそのあとは肩→胸→腕の順番にやります。」
『背中→胸→腕→肩』
▼栗本康弘選手
(2019 JBBF 関西オープン メンズフィジーク 優勝)
「基本的には背中→胸→腕→肩の順番でやっています。」
『毎回違う』
▼片岡秀誠選手
(2018 JBBF メンズフィジーク 兵庫選手権大会 1位)
「とくに順番は決めていません。なので、毎回違う部位からパンプアップしていたりします。」
順番を決めている選手が多いようだが、その理由は特に細かくはなくなんとなくそうしているという人も多いようだ。
パンプアップ前・中・後に摂取しているものは何?
トップ選手はステージ前にはどんなものを摂取しているのだろうか?
パンプ前・中・後の3つに分けてそれぞれ聞いてみた。
『はちみつもしくは黒蜜とウィダーインゼリー』
▼笠井大輔選手
(2021 FWJ Evolgear South Japan Championships メンズフィジーク オープン +175 優勝)
「パンプアップ前ははちみつもしくは黒蜜と、ウィダーインゼリーを摂取していますね。そしてパンプアップ中はOS1にプレワークアウト、塩2g、アルギニン、シトルリン、マルトデキストリンを溶かして飲んでます。」
『フィットラインのドリンク』
▼武本淳楽選手
(2021 FWJ JAPAN OPEN メンズフィジーク オープン オーバーオール 優勝)
「本番の3時間前に1回と直前のパンプアップ中にフィットラインのドリンクを飲んでます。」
『アルギニン・シトルリン・デキストリン』
▼栗本康弘選手
(2019 JBBF 関西オープン メンズフィジーク 優勝)
「アルギニン、シトルリン等にデキストリンを混ぜたものを摂取しています。」
『バナナと水』
▼片岡秀誠選手
(2018 JBBF メンズフィジーク 兵庫選手権大会 1位)
「パンプアップ中はバナナを食べています。パンプアップ後は軽く水分補給する程度ですね。そんなにサプリメントなどを摂取するという感じではないです。」
パンプの際に摂取しているものは、選手によってかなり差があるようだ。
各選手、自分に合ったものをそれぞれ摂取しているように思える。
まとめ
今回は大会中のパンプアップについてトップ選手たちの意見をまとめてみたがいかがだっただろうか?
かなり個人差のある内容となったが、今後大会に出る予定の方は、ここに書いてあることを参考にしてみてほしい。
<取材協力>
▼笠井大輔選手
▼武本淳楽選手
▼栗本康弘選手
▼片岡秀誠選手
文・編集:月刊 MEN’s PHYSIQUE 編集部 (@gekkan_mensphysique)
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