フィットネスに取り組んでいると、飲酒が筋肉に悪影響を与えるのではと心配になることもありますよね。
お酒を楽しみたいけれど、トレーニングの成果を無駄にしたくないというジレンマに悩む方も多いでしょう。
実際にはどの程度の飲酒が筋肉に影響を与えるのか。
そしてどのようにすれば影響が出づらくなるのか。
今回はそれについて深掘りしていき、筋肉を守りながらお酒を楽しむ方法をお伝えします。
飲みながら筋肉を増やすことはできる?
結論から言うと、筋トレと飲酒の両立は可能です。
ただし、いくつかのポイントに注意が必要になります。
アルコールは筋肉に一定の悪影響を与えることが知られていますが、適度な飲酒量を守り飲むタイミングや栄養補給に気を配ることでその影響を最小限に抑えることができます。
お酒を完全にやめる必要はなく、正しい知識と対策を取ることで筋肉の成長やパフォーマンスを損なうことなくお酒を楽しむことができるようになります!
筋肉に対するアルコールの悪影響を理解する
アルコールが筋肉に与える影響は科学的にも実証されていて、いくつかの研究では、アルコールは筋肉の修復や成長を妨げ、ホルモンバランスを乱すことがあると明らかになっています。
以下に、アルコールが筋肉に与える主な悪影響を詳しく説明します。
1. 筋タンパク質合成の抑制
筋肉の成長や維持には、筋タンパク質の合成が不可欠です。
筋トレ後に筋繊維が破壊され、それが修復される過程で筋肉が強くなります。
このプロセスが、いわゆる「筋タンパク質合成」です。
しかし、アルコールを摂取すると筋タンパク質合成が抑制されることが研究によって明らかになっています。
実際の研究でも、アルコールを摂取した場合、筋トレ後の筋タンパク質合成が最大で24%低下することが報告されています。
この研究は、アルコールを大量に摂取することが筋肉の回復にどれほど悪影響を与えるかを示していて、筋トレ後に飲むと筋肉の成長の邪魔をしてしまうリスクが高いことが明らかになっています。
2. テストステロンの減少
テストステロンは筋肉の成長や維持に非常に重要なホルモンで、筋肉を維持したり効率的に成長させるために必要不可欠です。
しかしアルコールを摂取するとテストステロンの分泌が一時的に減少することがわかっています。
ある研究ではアルコールの過剰摂取により血中のテストステロン濃度が最大で23%減少したことが報告されています。
これは筋肉の成長が遅れるだけでなく、筋肉の分解(カタボリズム)を促進するリスクが高くなることを意味しています。
3. コルチゾールの増加
アルコールを摂取するとコルチゾールと呼ばれるストレスホルモンの分泌が増加します。
コルチゾールは体がストレスを感じたときに分泌され、エネルギーを確保するために筋肉のタンパク質を分解する役割を持っています。
このホルモンの分泌が慢性的に高まると、筋肉量が減少しやすくなります。
実際に、2010年の研究ではアルコールを摂取することでコルチゾールの分泌が顕著に増加し筋肉のタンパク質分解が促進されることが確認されました。
コルチゾールが長期間高いレベルにあると、筋肉の回復が遅れて筋力が低下するリスクがあるのです。
4. 脱水と栄養不足
アルコールは利尿作用が強いため、体から水分が多く失われます。
この脱水は、筋肉の動きと回復に悪い影響を与えてしまいます。
筋肉は約70%が水分で構成されていて、十分な水分がないと機能が低下し筋肉痛や筋肉損傷のリスクが高まります。
さらにアルコールの代謝には大量のビタミンやミネラル(特にビタミンB群やマグネシウム)が使用されます。
そのため、過剰に飲酒すると栄養不足になってしまい筋肉の修復や成長が妨げられて、筋肉量が減少する可能性が高まります。
5. 睡眠の質の低下
アルコールはリラックス効果があり、飲んだ後は眠くなることがあります。
しかし、実際にはアルコールは睡眠の質を低下させることが研究で示されています。
とくに深い睡眠(レム睡眠)が妨げられることが多く、体が十分に回復するための睡眠の質が確保できません。
筋肉の回復は主に睡眠中に行われるため、アルコールによって睡眠の質が低下すると筋肉の回復が遅れて筋力が減少するリスクが高まってしまうのです。
6. タンパク質吸収の低下
肝臓はアルコールを優先して代謝するので、食事から摂取した脂質や炭水化物、タンパク質の代謝が後回しになります。
これによって筋肉の修復や成長に必要な栄養素が十分に使われず、逆に脂肪が蓄積しやすくなります。
その結果、筋肉が回復や成長がしづらくなり筋肉が減って体脂肪が増加するリスクが高まります。
筋肉が減らない良い飲み方
ここまで飲酒がいかに筋肉に悪い影響を及ぼすかを説明してきましたが、実はしっかりと対策をすることで、筋肉へのダメージを抑えつつお酒を楽しむことができます。
ではここから、筋肉を減らさないための「賢い飲み方」を紹介していきましょう!
1. 飲酒量をコントロールする
飲酒量をコントロールすることが最も重要です。
大量の飲酒は筋肉に悪影響を与えるリスクが高くなりますが、適量を守ればその影響を最小限に抑えることができます。
一般的に、男性は1日2杯まで、女性は1日1杯までが適度な飲酒量とされています 。
また、週に2〜3日の休肝日を設けることで、肝臓への負担を減らし、筋肉の回復に集中できる時間を確保することが重要です。
2. 低アルコールのお酒を選ぶ
飲むお酒の種類も重要です。
カクテルやビールなどを避け、ライトビールやノンアルコールビール、蒸留酒をソーダで割ったものなどを選ぶことで、アルコールの摂取量を抑えることができます。
アルコール度数の低いお酒を飲むようにすれば筋分解のリスクも下がるのでおすすめです。
3. 飲酒前後の栄養補給
筋肉を保護するためには、飲酒前後の栄養補給が非常に重要です。
飲む前にしっかりと高タンパク質の食事を摂取することで、アルコールによる筋肉の減少を抑えることができます。
また、プロテインやアミノ酸(特にロイシン)を摂取することで、筋肉の回復をサポートすることができます。
飲酒後には、ビタミンやミネラルを補給することも重要です。
ビタミンB群やマグネシウムがとくにおすすめで、この栄養素が不足するとアルコール代謝が遅れて筋肉への悪影響が増してしまうので、サプリメントやバランスの取れた食事を心がけてしっかりと摂取酢量にしましょう!
4. チェイサーの使用
飲酒時にチェイサーとして水を飲むことは、アルコールによる脱水を防いで筋肉への悪影響を減らすのでとてもおすすめです。
水分補給をしっかり行うことで、筋肉の回復を助けるだけでなく肝臓の負担を減らして二日酔いを予防することができます。
基本的には1杯のお酒を飲むごとに同量の水を飲むことが推奨されています。
これで飲酒のペースを自然と抑えつつ、体内の水分バランスを保つことができるでしょう。
5. 飲むタイミングの工夫
飲むタイミングにも注意が必要です。筋トレ後にすぐアルコールを摂取するのはなるべく避けた方が良いでしょう。
筋トレ後の数時間は筋肉がもっとも修復・成長している時間帯なので、このタイミングでアルコールを摂取すると筋タンパク質合成が抑制されて筋肉の成長が妨げられてしまいます。
一番良いのは「トレーニングがない日」や「トレーニング後数時間を空けた夜」に飲むのが理想的です。
翌日にハードなトレーニングを予定している場合も飲酒を控えた方が良いでしょう。
筋肉と肝臓を健康に保つためには、飲酒の頻度を減らすことも大切です。
毎日飲むのではなく、週に2〜3日は休肝日を設けることで、肝臓や筋肉にかかる負担を減らすことができます。
まとめ
お酒は飲み方を気をつければ筋肉を減らさずに飲むことができます。
飲む量のコントロールすること、低アルコールを飲むこと、飲酒前後に栄養を補給すること、チェイサーを使用すること、そして飲むタイミングを工夫することで、筋肉の成長や維持の邪魔をせずにお酒を楽しむことができるのです。
賢いお酒習慣を身につけて、楽しい飲酒ライフを送りっていきましょう。
それでは良いフィットネスライフを!
文・編集:月刊 MEN’s PHYSIQUE 編集部 (@gekkan_mensphysique)
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