ボディコンテストに向けて最高の体に仕上げるためには、トレーニングするだけでは不十分。
食事にもこだわる必要があります。
とくにコンテスト前は特殊な食事法をする選手が多いです。
そこで今回は、コンテスト前によく採用される「カーボディプリート」について詳しく解説します。
カーボディプリートとは?
カーボディプリートというのは「カーボ(炭水化物を)ディプリート(激減させる)」という名前の通り、炭水化物の摂取を一時的に激減させる食事法のことを言います。
炭水化物の摂取を減らすことで体内のグリコーゲンと水分が減り、筋肉がより引き締まっていきます。
とくに大会前に行うことで筋肉の質感(見た目)が良くなり、コンテストでの評価が上がることが期待できるでしょう。
なぜ体が引き締まるのか
炭水化物は体内でグリコーゲンとして貯められているのですが、このグリコーゲンが筋肉や皮膚の下に水分をため込み、筋肉のカットや質感を悪くしてしまいます。
ですがカーボディプリートを行うことで水分を一時的に減らし、カットや質感を良くすることができるのです。
この効果はとても高く、カーボディプリートを行った選手とそうでない選手ではステージに立った時に体の印象がまるで違います。
圧倒的なカットを出したいなら、カーボディプリートはとても良い手段と言えるでしょう。
カーボディプリートのやり方
ではここからカーボディプリートのやり方をご紹介します。
ディプリート期間
カーボディプリートはコンテストの5〜7日前から開始します。
この期間からスタートすると、最も良いコンディションで大会当日を迎えることができるでしょう。
そして実際におこなう期間としては3〜5日間。
これより少ない期間だとカーボディプリートの効果が出にくくなってしまい、これより長い期間だと筋肉が減ったり、体調が悪くなったりするリスクが上がります。
そのため、基本的には3〜5日にすることをお勧めします。
初心者は、まずは4日間やってみるのがおすすめです。
そこで体がどんな反応をするのか見ていきましょう。
ディプリートの進め方
カーボディプリートは1日に摂る炭水化物の量を0〜40g、タンパク質は体重(kg)×2.5〜3.5、脂質は体重(kg)×0.8〜1.5gにします。
基本的にはタンパク質の量を1.2〜1.5倍まで増やし、脂質の量を2〜3倍まで増やすことが多いです。
カーボディプリート期間は肉体的にも精神的にもとても辛い期間となるので、覚悟しておいた方が良いでしょう!
水分・塩分の量にも注意が必要
カーボディプリート〜カーボアップ期間中は水分・塩分の摂取量にも注意が必要です。
水分と塩分の量を間違えると筋肉からハリがなくなったりむくんだりして、カーボディプリートに失敗してしまうこともあります。
具体的にはディプリート中は5〜8リットルの水と10〜20gの塩分を摂取していくのがおすすめ。
(ディプリート中はあくまでも「グリコーゲン(糖分)」に働きかけたいので塩分と水分はむしろ多めに摂っていきます。)
ディプリートが終わり、カーボアップに移った後(大会の1〜2日前)には水分を1〜1.5リットル程度に減らし、塩分も1〜3g以下となるまで減らしていきます。
サプリからビタミンを摂取するのもアリ
カーボディプリートの期間はビタミン不足にならないようにサプリメントを摂取していくことが大切です。
サプリメントであれば糖質量を最小限に抑えながらビタミンやミネラルなどを摂取できるのでとてもおすすめです。
カーボディプリート中のトレーニング
カーボディプリートの期間中は、体の中の糖質を枯渇させるために全身の筋肉を鍛えるのがおすすめです。
糖質不足できついのですが、ここで全身を鍛えることでカーボディプリートの効果を最大限まで高めることができるでしょう。
その後カーボアップに入ったらトレーニングの負荷を落としていくのが良いです。
人によってはトレーニングをしない人もいるので、その辺りは自分の判断で変えてみてください。
これらのことをしっかりと頭に入れ、カーボディプリートを行っていきましょう。
ディプリート後はカーボアップ!
カーボディプリート後はコンテスト当日まで炭水化物の量を増やします。
これは「カーボアップ」と呼ばれ、これを行うことで体が通常以上のグリコーゲンを筋肉内に溜め込もうとするのでいつも以上に筋肉が大きく見えるようになります。
そして筋肉にはハリが戻りカーボディプリートを行う前よりも筋肉のコンディションがはるかに良くなります。
具体的には体重(kg)×4〜5gの炭水化物を摂取すると良いでしょう。
水分は1〜1.5リットル程度まで減らし、塩分も1〜3g以下となるまで減らしていきます。
カーボアップをしないカーボディプリートにはあまり意味がないので、ディプリートが終わった後には必ずカーボアップを入れるようにしてください。
見た目もかなりかっこよくなりますが、それと同時にメンタル面がとても楽になるでしょう。
みんな「カーボアップ期間は天国だ」と口を揃えていいます。
実際の食事
それでは、カーボディプリート〜カーボアップの実際の食事をご紹介していきます。
実際の食事は状況やその時の気分によって変わってくると思いますので、今回はいくつかのパターンをご紹介します。
朝の食事、昼の食事、夜の食事それぞれをこの中から自分に合うやり方を探してみてください。
カーボディプリート中の食事
まずはボディプリートの食事例をご紹介します。
今回は食事を5食に分けてそれぞれいくつか食事例を出していくので、実際にその中から選んで実施してみてみましょう!
体重60kgの人を想定してご紹介するので、それをもとに自分の体重に合わせた食事量に調整してください。
1食目
【PFCバランス】
→P36g F14g C2g
→278kcal
タンパク質は体重×0.6gを目安に摂っていくのがおおすすめ。
脂質は体重×0.25gを目安にしましょう!
実際の食事例は以下の通りです。
食事例①
- 全卵:2つ
- 卵白:2つ
- ノンオイルツナ缶:1つ
- めかぶ:1パック
- ビタミン剤
- 塩2g
食事例②
- 卵白:4つ
- ノンオイルツナ缶:2つ
- めかぶ:1パック
- オリーブオイルorMCTオイル:12g
- ビタミン剤
- 塩2g
食事例③
- 鶏胸肉:120g
- 卵白:2つ
- めかぶ:1パック
- オリーブオイルorMCTオイル:12g
- ビタミン剤
- 塩2g
食事例④
- プロテイン:1杯(タンパク質35g分)
- めかぶ:1パック
- MCTオイル:12g(プロテインに入れる)
- ビタミン剤
- 塩2g
この中から1つ選ぶのも良いですし、自分でカロリー計算するのもありです!
オリーブオイルはそのままかけて摂取するのも、加熱する際にフライパンに敷いて使うのもOK。
プロテインにするときはオリーブオイルではなくMCTオイルを溶かして飲むのが一番良いでしょう。
2食目
【PFCバランス】
→P36g F12g C10g
→292kcal
タンパク質は体重×0.65gを目安に摂っていくのがおおすすめ。
脂質は体重×0.2gを目安にしてみましょう!
炭水化物は摂りたいわけではないのですが、野菜から自然と摂れてしまうのでこのくらいは仕方ありません。
(食物繊維込みの炭水化物量なので、糖質量としては半分くらいとなります。)
食事例①
- 鶏胸肉:160g
- 葉物野菜:100g
- オリーブオイルorMCTオイル:7g
- 塩3g
食事例②
- 卵白:3つ
- ノンオイルツナ缶:2つ
- 葉物野菜:100g
- オリーブオイルorMCTオイル:7g
- 塩3g
食事例③
- 鶏胸肉:90g
- ノンオイルツナ缶:1つ
- ブロッコリー:100g
- オリーブオイルorMCTオイル:7g
- 塩3g
めかぶ等から取れる塩分がないので、ここではしっかりと塩を摂取していきましょう。
そのまま摂取しても良いですが、肉や卵にかけるのがおすすめです。
3食目
【PFCバランス】
→P36g F21g C2g
→341kcal
タンパク質は体重×0.6gを目安に摂っていくのがおおすすめ。
脂質は体重×0.35gを目安にしてみましょう!
食事例①
- 鶏胸肉:50g
- 全卵:3つ
- めかぶ:1パック
- 塩2g
食事例②
- マグロ:60g
- サーモン:100g
- めかぶ:1パック
- 塩2g
食事例③
- 全卵:3つ
- ノンオイルツナ缶:1つ
- めかぶ:1パック
- 塩2g
食事例④
- さば水煮缶:1つ
- 全卵:1つ
- めかぶ:1パック
タンパク質は1食目と同じく体重×0.6gを目安に摂っていくのがおおすすめ。
4食目
【PFCバランス】
→P36g F6g C10g
→238kcal
タンパク質は体重×0.6gを目安に摂っていくのがおおすすめ。
脂質は体重×0.1gを目安にしてみましょう!
2食目と同じく、炭水化物は野菜から摂取される分だけとなります。
食事例①
- 鶏胸肉:150g
- 葉物野菜:100g
- 塩3g
食事例②
- 卵白:4つ
- ノンオイルツナ缶:2つ
- 葉物野菜:100g
- 塩3g
食事例③
- 鶏胸肉:100g
- ノンオイルツナ缶:1つ
- ブロッコリー:100g
- 塩3g
食事例④
- 鶏胸肉:140g
- ブロッコリー:100g
- 塩3g
ここでも塩を3g別で摂ります。
5食目
【PFCバランス】
→P36g F14g C2g
→278kcal
タンパク質は体重×0.6gを目安に、脂質は体重×0.2gを目安にしてみましょう!
食事例①
- 鶏胸肉:80g
- 全卵:2つ
- めかぶ:1パック
- 塩2g
食事例②
- 全卵:2つ
- ノンオイルツナ缶:2つ
- めかぶ:1パック
- 塩2g
食事例③
- マグロ:90g
- サーモン:60g
- めかぶ:1パック
- 塩2g
食事例④
- マグロ:80g
- 全卵:2つ
- めかぶ:1パック
- 塩2g
食事例⑤
- 全卵:2つ
- 卵白:2つ
- ノンオイルツナ缶:1つ
- めかぶ:1パック
- 塩2g
合計
- タンパク質(P):180g
- 脂質(F):67g
- 炭水化物(C):26g
- カロリー:1427kcal
最終的なマクロ栄養素は上記の通りです。
炭水化物は食物繊維込みとなっているので”糖質の分だけ”で計算すると18〜20gとなります。
タンパク質は体重(kg)×3g、脂質は体重(kg)×1.1g、糖質は体重(kg)×0.3gとなりました。
この食事を3日〜4日間続けることができれば、カーボディプリートの成功する確率も上がるでしょう!
カーボディプリートをいつから始めれば良いのか分からない人は、大会の6日前から3日間おこなってみてください。
そしてその後3日間は、カーボアップをしていきましょう。
カーボアップ中の食事
それでは続いて、カーボアップ(カーボローディング)の際の食事をご紹介します。
カーボアップはカーボディプリートと違い、カーボアップ中は毎食ほとんど同じものを食べることになります。
カーボアップ中は体が常に糖質で満たされている状態にしなくてはいけないので、1日6食になります。
食事
【PFCバランス】
→P30g F4〜10g C90g
→約500kcal
タンパク質は体重×0.5g、脂質は体重×0.1g以下、糖質は体重×1.5gになるように摂っていくのがおおすすめです。
先ほどお話しした通りカーボアップは食事のバリエーションがほとんどないので、1食ごとのご紹介はしません笑。
毎食以下の中から1つ選んで食べるようにしてみてください!
食事例①
- 卵白:3つ
- ノンオイルツナ缶:1つ
- 白ご飯:240g
食事例②
- 鶏胸肉:110g
- 白ご飯:240g
食事例③
- 卵白:6つ
- 白ご飯:240g
食事例④
- マグロ:100g
- 白ご飯:240g
食事例⑤
- 牛ヒレ肉:120g
- 白ご飯:240g
食事例⑥
- 鶏胸肉:70g
- 卵白:2つ
- 白ご飯:240g
このように基本的には白米から糖質を摂取していくのがおすすめです。
一部を餅や和菓子に変えるのもアリです。
その場合は必ずマクロを計算してPFCバランスが崩れないようにしてください。
品目 | タンパク質 | 脂質 | 糖質 |
餅1つ | 2g | 0.3g | 25.4g |
大福1つ | 4.3g | 0.6g | 51.1g |
饅頭1つ | 4.8g | 0.6g | 54.6g |
羊羹1つ | 2.0g | 0.1g | 25.4g |
※あくまでも1例です
塩分等は控えめにし、なるべくむくまないようにしていきましょう。
まとめ
以上がカーボディプリートのやり方でした。
今回紹介したのは中でもメジャーなやり方なので、自分の体の反応や体調等に合わせて調整をしながらやってみてください。
またカーボディプリートは体にものすごい負担がかかります。
できることならトレーナーや医師の指導のもと行うのが好ましいですが、それが難しい場合には体に十分に気をつけながら行なってください。
文・編集:月刊 MEN’s PHYSIQUE 編集部 (@gekkan_mensphysique)
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