「当たり前の努力をしている」53歳、根本永悟選手のボディメイク論

 

「コンテストを目指す選手として当たり前の努力をしているだけです」根本永悟選手

 

今回は、53歳にして2020FWJ REIWA CHAMPION SHIP”フィットネスモデル””アスリートモデルover40″”アスリートモデルトールマン”で優勝を果たした根本永悟選手にインタビューを行なった。
1月で54歳を迎える彼が初のコンテスト出場でどのようにして勝利を勝ち取ったのか、その強さの核心に迫る。

 

根本永悟(ねもとえいご)

1967年1月31日生まれ。身長183cm。三重県出身。OFF期の体重は85kgでON期の体重は72kg。BIG3のMAX重量はベンチプレス120kg、スクワット140kg、デッドリフト170kg。好きな言葉は「生涯現役」。

 


──2020FWJ REIWA CHAMPION SHIP メンズフィトネスモデル優勝 2020FWJ Y-4GIM CLASSIC メンズアスリートモデルover40 優勝 2020FWJ Y-4GYM CLASSIC メンズアスリートモデル トールマン優勝という素晴らしい成績を残されていますが、この成績についてはどう思っていますか?

昨シーズン初めてコンテストに出場したのですが、フィットネスモデル・アスリートモデルover40・アスリートモデルトールマンと階段を駆け上がるように3カテゴリーで優勝出来たのは素直に嬉しいですね。

とくにアスリートモデルトールマンでの優勝は高いレベルの選手達が多い中での優勝でしたので、本当に嬉しかったです。

 

──まだトレーニング歴も短く、さらに50代という年齢でもこれだけの成績を残せたのにはどんな理由がありますか?

この1月で54歳になります。
トレ歴はもうすぐ2年になるのですが、正直なところ年齢がハンデになっていると感じた事はありません。
かといって若いモンにはまだまだ負けん!のような面倒くさいオジサンみたいな気負いもありません(笑)。

ジムで大会に出ている仲間も若い人が多いですが、私は友達と思って接しています。
向こうはお父さんと同じくらいのおじさんと思っているでしょうけど(笑)。

ですから本当に年齢の事は考えないですね。
多少テストステロンは減っているのでしょうが決定的ハンデになるほどじゃないと思っています。
コンテストを目指す選手として当たり前の努力をしているだけですし。
50代だから筋トレしてもデカくならないとか、若い人には勝てないとかそういうネガティブな思考を全く持っていない事が良かったのかな、と思います。

 

──ステージに立ったときに感じたことはどんなことですか?

ステージもバックステージも華やかで輝いていました。

選手達の作り上げてきた身体が眩しかったですね。

その一員に自分もなっていると思うと本当に楽しかったです。
シニアの選手も沢山いて男性も女性も本当にカッコイイ人が多かったです。

もし、年齢がネックでコンテスト出場をためらっている方は、そんな心配はないので是非参加して欲しいですね。

 

──大会に出たときは緊張しましたか?

心地の良い緊張感はありましたが、ステージに悪い影響のあるくらいの緊張は全くなかったです。

むしろ楽しくていつまでもステージ上にいたいくらい気持ち良かったですよ。

 

──大会に出場するにあたってどのくらい勝つ自信がありましたか?「勝てるな」思った瞬間などはありましたか?

大会前から、優勝はともかく、ある程度いけるかなぁとぼんやりくらいですかね。

大会当日は同じカテゴリーの選手を見るとデカい人もいたので厳しい勝負になりそうだと感じていました。
ステージ上では最終的にはセンター2人のうちの1人になりましたので

TOP2に入ったのは分かりましたが、表彰式まで優勝の確信は持てなかったです。

 

──大会中、バックステージで意識していること、ステージ上に立った時に意識していることはなんですか?

バックステージにはかなり前から招集されるので、パンプアップする時間調整にはとても気を使います。

長すぎたり時間が経ちすぎたりしても効果半減なので、適切な時間と量でパンプアップしますね。

ステージ上では、この日のためにトレーニングしてきているので、楽しむ気持ちしかないです。
座席のお客様の顔ひとりひとり記憶出来るくらい意識もクリアですよ。

本当に気持ちが高揚しています。

 

──自分の戦略でうまくハマったなと思ことはありますか?

トレーニング歴も短く急に身体をデカくすることは今すぐには出来ないけど、絞りだけは今できる努力だと思っていたのできっちり絞り切ろうと考えてそれを実行したという感じです。

 

──大会など間近で見ていて、この人はすごいなと思った方はいらっしゃいますか?

大会でお会いして以来、合トレなどで仲良くなった柴田選手ですね。

彼はサラリーマンをしながら2度目のコンテスト出場でFWJフィジークオープンクラス準優勝しています。
栄養学などの造詣も深く、トレーニングも理論的です。

今期はJBBFのコンテストに参加するとの事ですが、JBBFでもかなり良い成績を出すと思います。

 

──自分で感じている自分のカラダの一番の強み(ストロングポイント)は何ですか?

骨格的に肩幅が狭く昔はコンプレックスでしたので肩トレの頻度は多くしています。

今では肩が自分の強みと感じるまで成長しました。またプレス系種目より引く種目が得意で背中も自分の強みだと思っています。

 

──自分のカラダの弱み(ウィークポイント)、もっと強くしたい部分はなんですか?

逆に表面、中でもとくに胸は弱みですね。

背中に比べて大胸筋の肥大速度は遅いなと感じていて、今の自分の課題です。
トレーニングもそのつもりで取り組んでいます。

 

──これから大会に出たい、また大会で勝っていきたいと思っている40~50代の選手はどんなことをするべきだと考えていますか?

まずは年齢の事をネガティブに捉えない事だと思います。
40歳でも50歳でも筋肥大はしますから。
選手として日々のトレーニングをしっかり取り組めば大きなハンデにはなりません。

 

──すこし幼少期のお話をさせてください。幼少期はどんな少年だったんですか?

小さい頃からのめりこみやすい性格でしたね。ハマるとトコトンやる子供だったと思います。

ただ子供の頃は飽きるのも早かったです(笑)。

 

──それからどのように筋トレに出会い、ハマっていったのですか?(筋トレとの出会いから今までの経緯を作文のように書いていただけると嬉しいです。)

40歳過ぎた頃からスポーツをしていても少しずつ体脂肪が増えるようになってきました。

47歳でライフセーバーになって海パンで浜辺に立つようになったのですが、浜辺に立つライフセーバーのお腹がバキバキじゃなかったら説得力無いなと思ったんです。

それで今から2年ほど前にジムに入会しました。

 

──大会に出ようと思ったきっかけやエピソードはありますか?

筋トレを本格的に始めた直後に大会に挑戦することは決めました。

自分の中でスポーツに真剣に取り組む事=競技に参加する事なんです。
今までずっとそうでしたから、自然なことでした。

 

──大会に出場するにあたり、周りの方からの反応はどのようなものがありあましたか?

家族は「また始まった・・・。」と、冷ややかな反応でしたね(汗)。

まぁ、いつもの事だと思っているのではないでしょうか(笑)?

 

──大会を見る側とやる側の一番の違いはなんだと思いますか?

スポーツは観るのも、やるのも大好きです。
ただ自分自身が取り組むスポーツに関してはやるからには大会に参加をして上を目指すのが自分のやり方ですね。

 

──50歳を超えた現在もトレーニングに情熱を注げるのはどんな理由があるんですか?

私は高校~大学~社会人と日本のトップレベルのリーグでラグビーをしていました。

大学も社会人チームもラグビーで入りました。

ですが26歳の時、首に深刻なケガを負いラグビーを引退する事になります。
今までラグビーにすべてを捧げてきた自分にスポーツが無い生活は考えられず、志半ばで終える事になって腑抜けていたんですね。

そんな時にスノーボードに出会いました。

スノーボドにはびっくりするぐらいすぐにのめりこんでいきました。ものすごくハマりましたね。
週末をスキー場で過ごし、インストラクターをしながら大会を回る生活を20年間も続けましたし。

そして20年間続けたスノーボード生活に一区切りをつけ、次に私はライフセービングに挑戦しました。

47歳の時だったのですが、大学生に混ざりながら走り、そして泳ぎ、資格を取得して今も週末は湘南海岸の浜辺に立っています。

こうやって青春時代から今までずっと、私のアイデンティティはスポーツ競技で形成されてきました。
今はボディメイク競技に全てを捧げたいと思っています。

生涯アスリートでいたいという気持ちがトレーニングに情熱を注げる理由かと思いますね。

 

──筋トレをする前と始めた後で変わったことはありましたか?

自分では筋トレを始める前も年齢の割にはいい身体をしていると思っていたのですが、筋トレ開始前の写真と今を比べると雲泥の差ですね。
本当に今が人生で一番いい身体だと思います。

 

──50代から筋トレを始めるのは遅いと考えている方や今さらトレーニングをしても何になるのだろうと考えている方も多いと思いますが、それについてはどう思いますか?

筋肉は何歳になっても鍛えれば肥大すると聞いたことがあります。

人生100年時代と言われる中、健康な50代の方が年齢を理由に諦めるのはもったいないし、残念ですね。

 

──では50代の方でも筋トレはすべきでしょうか?

健康な50代の方なら筋トレはおすすめしますね。

筋量を増やせば代謝も上がりメタボ対策にもなると思います。なにしろいつまでもカッコイイ身体でいたいじゃないですか。

 

──基本的な食事を教えてください

増量期は基本的に厳密な制限はしていません。
好きな物を沢山食べるようにしています。

ただ、揚げ物とカップラーメンは極力食べないようにしていますね。

そしてこの時期はプロテインも沢山飲みます。
朝、10時、15時、トレ終了時の4回飲んでいますよ。

お酒も大好きで増量期はよく飲んでいますね。
筋肥大にアルコールは良くないと聞いてはいますが減量期も我慢しているので、ストレスを溜めない為にもあまり制限はしないようにしています。

減量期の食事は、鶏胸肉やささみがメインのおかずになります。
糖質は決めたカロリー内で最大限、摂るようにしています。

PFCバランスは「4(P):2(F):4(C)」に設定しています。

増量期のようにプロテインを沢山摂ってしまうとカロリー収支で食べられる量が減ってしまい、お腹が空いてしまうのでなるべくタンパク質は鶏肉などの固定物で摂るようにしています。
減量期は大好きなお酒も一滴も飲みません。
どうしても飲みたい時は0カロリーのノンアルコールを飲んでいます。

こんな形の減量を4か月行ない、10㎏~12㎏くらい落とすイメージです。

 

──食事を摂る際に気をつけていることはありますか?

先ほども少しお話しましたが増量期といっても極力油の多いものは食べないようにしていますね。

一般的なダイエットといえば糖質制限が主流かもしれませんが、カーボを減らしすぎると筋肉が萎みますので決めたカロリー内で最大限摂るようにしています。
カーボに関しては、白米の量を減らしてさつまいもやオートミールなどGI値の低いものを積極的に摂るようにしてますよ。

 

──付き合いなどで外食をする場合に気をつけていることはありますか?

減量中の付き合いは悩みのタネですね。
減量期だと、多少付き合いも悪くなりますし(笑)。

どうしても行かざるを得ない場合はせめて揚げ物などは食べないようにしますね。

 

──お酒を飲む席ではいつもどうされていますか?

酒好きトレーニーとしてはこれが一番辛いです。
行くと飲まないわけにはいかないのでなるべく行かないようにしています。
どうしても行かなければならない時は「ハイボールを少し飲んでつまみは食べない」という涙ぐましい努力をしていますよ(笑)。

 

──トレーニングのルーティンを教えてください

トレーニングは、「胸/背中/肩/脚」の4分割でやっています。

サブ部位で腕と腹筋を交互にメイン部位に合わせてトレーニングしています。

頻度は週5回やっています。
4つの部位をローテーションしてやるといった感じです。

 

──トレーニングのセットの組み方や重量&回数、インターバルやセット法についてこだわりなどはありますか?

トレーニング時はおもに、”ドロップセット”か”ジャイアントセット”を取り入れて、息が上がるくらい追い込むようにしていますね。

同じ部位でも多少フォームが乱れても高重量をやる日と低中重量でフォームを重視し高回数やる日を設けて違う刺激を入れるようにしています。

 

──50代の方ですと怪我が怖い、倒れたら怖いという方が多いと思うのですが、根本さん自身筋トレをする際にそれを感じたことはありますか?

私自身、筋トレ中に怪我が怖いだとか倒れたらどうしようみたいな不安になった事は幸いにもありません。

ただこれから筋トレに挑戦したいとか、もっと強度を上げてコンテストに出てみたいと思っている同世代の方々は、ジムで仲間を作ると良いのではないでしょうか。

トレーニング方法論などの情報交換も出来るし、仲間がいると何かあった時でも何かと心強いですよね。

 

──普段から飲んでいるサプリメントを教えてください。

私は、プロテイン・プレワークアウト・クレアチン・グルタミン・マルチビタミン・EAAを飲んでいます。

 

──トレーニング前・中・後の食事とサプリメントはどんなものを摂取していますか?

まず、トレーニングの2~3時間前に食事を摂っています。

平日だと会社で食事をしてから帰りますね。

通勤時間が1時間半掛かりますから家について着替えてジムに行くと丁度いい感じです。

そして、トレーニング30分前にギャスパリのスーパーパンプマックス(プレワークアウト)を飲みます。

トレーニング中はマイプロテインのEAAを飲んでいますよ。
でもスポルテックで試飲したVALXのEAA9が美味しかったので、次からはVALXにしてみようかなと思っています。

トレーニング後は食事は既に済ませている状態なので、食事を摂ることはないです。
トレーニング終了直後にプロテインを飲んで、あとは寝る前に疲労を残さない&免疫力向上の為にグルタミンとマルチビタミンを飲んで寝る感じですね。

 

──体のコンディションを整えるために行っていることは何かございますか?

銭湯とサウナが好きでスーパー銭湯や昔ながらの番台がある銭湯によく行きます。
週末のトレーニング後の銭湯は最高ですね(笑)。

サウナに入って冷水に入る事を繰り返すと本当に気持ち良いですし、身体も疲れが取れる気がします。

 

──体のコンディションを整えることでどのような変化がありますか?

身体の疲れを取る事も大事ですが、健康な身体であれば心のコンディションを整える方が大事だと思っています。
週末は全てをリセットし、心身共にコンディションを整えるようにしています。

 

──体のコンディションを整えることについてどのようにお考えですか?

私たち世代の者はまず健康でいる事。

これに尽きるのではないでしょうか。

若い時のように健康が当たり前の世代ではありません。意識して行動していないと健康でいられない年代です。
健康でなければ好きな事も出来ないし仕事も出来なくなる。

なので、我々世代のコンディション作りは健康でいるための努力だと思っています。

 

──リフレッシュはどのようにされていますか?

海が好きなので週末にライフセービング活動と波乗りをすることですね。
湘南海岸から見える富士山に沈んでいく夕日はいつ見ても感動しますし、良いリフレッシュになっています。

 

──リフレッシュは大切だと思いますか?

本当に大切だと思います。
我々の世代になると会社でも社会でもそれなりに責任ある立場にあるでしょうし、そのストレスはかなり大きいと思います。
リフレッシュ出来ているからこそ良い仕事も出来るということに繋がりますから、心も体も健康でいられるためのリフレッシュは大事だと思います。

 

──あなたにとって筋トレとは?

始めた頃よりもどんどん筋トレが楽しくなってきています。

今は生き甲斐です。

 

──最後の質問です。今後の意気込みと目標、最終的にどんな存在になりたいのかを教えてください。

先シーズンは登竜門的なカテゴリーで最高の成績を収める事ができ、コンペティター(選手)として良いスタートが切れたと思っています。

今後は自分の特性やプロポーションにあったカテゴリーに進んでいこうと思っています。
具体的にはスポーツモデル系の大会やカテゴリーに出場する予定です。

同世代のベテラン選手で私よりデカい方は大勢いらっしゃいますが、50代で筋トレを始めた50代ルーキー選手は珍しいと思います。
私はシニア世代の方々にボディメイクの楽しさ、50代で自分史上最高のカラダ作りが出来る事をSNSや大会結果を通じて発信していきたいと思っています。

 


 

・SNS

「InstagramやTwitterでシニア選手の活動発信しています!シニア選手やこれから大会を目指す方々の輪を広げましょう!」根本永悟選手

▼Instagram
@eigo.fitness

▼Twitter
@EIGO57447790

 

文・編集:月刊 MEN’s PHYSIQUE 編集部 (@gekkan_mensphysique)

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