クラシックフィジークは、ボディビルの黄金時代の美しさを彷彿とさせるカテゴリー。
今回はクラシックフィジークの歴代オリンピア優勝者の生い立ちやフィジーク、そして激戦を繰り広げたライバル関係を含めて詳しく紹介していこう!
クラシックフィジークとは?
クラシックフィジークは2016年に新設され、「筋肉量」と「美しさ」そして「バランス」の全てが大きく評価れるカテゴリーだ。
肩幅の広さとウェストの細さ、脚の大きさ、そして完璧なポージングが求められ、ボディビルよりも大きなギャップが必要となる。
擬音でたとえるなら「ドンッ・ギュッ・ドンッ!」だ。
過去もっとも美しい体を求められるカテゴリーと言われており、今世界中で最も人気のカテゴリーとなっている。
「バルク至上主義」から一歩離れて、かつてのアーノルド・シュワルツェネッガーやフランク・ゼインのような、優雅で美しい肉体を目指すカテゴリーとなっており、「美しかったボディビルの再来だ」と言われている。
歴代クラシックフィジーク王者一覧
オリンピアの歴代クラシックフィジーク王者は以下の通りだ。
回 | 年 | 選手名 |
第1回 | 2016年 | ダニー・ヘスター (Danny Hester) |
第2回 | 2017年 | ブレオン・アンスリー (Breon Ansley) |
第3回 | 2018年 | ブレオン・アンスリー (Breon Ansley) |
第4回 | 2019年 | クリス・バムステッド (Chris Bumstead) |
第5回 | 2020年 | クリス・バムステッド (Chris Bumstead) |
第6回 | 2021年 | クリス・バムステッド (Chris Bumstead) |
第7回 | 2022年 | クリス・バムステッド (Chris Bumstead) |
第8回 | 2023年 | クリス・バムステッド (Chris Bumstead) |
過去8回も開催されているクラシックフィジークだが、優勝者はたったの3人しかいない。
2016年の初代王者はダニー・へスター、そしてその後ブレオン・アンスリーが2連覇を果たし、2019年からはクリス・バムステッドが5連覇を果たしている。
1, ダニー・ヘスター(初代王者)
出身地 | タイ |
生年月日 | 1969年2月13日 |
身長 | 168cm |
職業経歴 | 看護師・刑務官 |
ダニー・ヘスターは1969年にタイ人の母とドイツ人の父の間に生まれた。
幼少期から運動が得意で、とくに柔術やレスリングで活躍していた。
そしてこのスポーツの経験が彼をフィットネスの世界に引き込んだ。
クラシックフィジークの競技に参加する前には、パーソナルトレーナーとして活躍しており、トップアスリートやセレブたちの体を鍛えていた。
当時からヘスターはバルク重視ではなく、「美しさと機能的な体」を追求してきていたので、クラシックフィジークの概念と相性が合い、そのままクラシックフィジークの道へと進んだ。
そして2016年に初代王者となったのだ。
フィジークの特徴
この画像を見てもらえるとわかると思うが、ダニーの体は、全体的なバランスと筋肉のディテールが特徴的だ。
彼の身長168cmはクラシックフィジークの中ではやや小柄なのだが、「細部まで鍛え上げられた筋肉」と「メリハリのある美しいシルエット」でまるで教科書に載っているような体だと言われている。
確かに美しい。
中でも腹筋と脚部の仕上がりは審査員からの評価がとても高い。
この体が、これから世界的にも大人気となるクラシックフィジークの元となり、現在でもとても大切な基準となり続けている。
ダニー・へスターが今日のクラシックフィジークの基盤を築き上げた。
2, ブレオン・アンスリー(優勝2回)
出身地 | アメリカ カリフォルニア州 |
生年月日 | 1979年11月13日 |
身長 | 170cm |
職業経歴 | 俳優・トレーナー |
ブレオン・アンスリーはスポーツが盛んな家庭で育ち、若い頃からさまざまなスポーツに挑戦していた。
テニスや水泳で優れた成績を収めておりまさにスポーツ万能。
学生時代に一番ハマったフットボールでも彼はアイオワ州立大学への奨学金を得るほどの優秀な選手だった。
しかし、怪我でフットボールを続けることができなくなり、挫折。
その後、故郷に戻り、もともと興味のあった「演技の道」に進むことを決意した。
実はブレオン・アンスリーは、サムスンやマクドナルド、マウンテンデューといった大手ブランドのCMにも出演している。
スポーツから離れた期間も、アンスリーはトレーニングを続けており体型を維持していた。
そして、このトレーニングの知識を活かし、パーソナルトレーナーとしてのキャリアもスタートさせた。
トレーナーとして活動する中で、友人たちから「ボディビル大会に出てみたら?」と言われ、ボディビルの道へと進むことを決意した。
フィジークの特徴
ブレオンの体はバランスがとても良く、腹筋と背中の発達は圧巻。
中でも広い肩幅と細いウエストを持っていて、これがブレオン最大の強みとなっている。
また、ポージングの技術もトップレベルで、もはや芸術的。
いろんな選手が彼のポージングを参考にしていると言われている。
2019年にクリス・バムステッドに王座を奪われたものの、この戦いは多くのファンを感動させ、クラシックフィジーク史に残る名勝負となった。
3, クリス・バムステッド(優勝5回)
出身地 | カナダ オンタリオ州 |
生年月日 | 1995年2月2日 |
身長 | 185cm |
職業経歴 | YouTuber |
クリス・バムステッドは幼少期、サッカー、野球、バスケットボール、アイスホッケーなど、いろいろなスポーツに挑戦していた。
これによってアスリートの道への興味が芽生え、高校1年生の時にウェイトリフティングを始めた。
ちなみに、この時のクリスは「ボディビルというのは趣味の一つ」だと思っていた。
しかしその後、クリスの姉のボーイフレンドでありプロボディビルダーの”イアン・ヴァリエ”が、クリスの可能性に気づき、ボディビル競技の世界へと連れ込んだ。
これがクリスがボディビルの世界に入ったきっかけである。
イアン・ヴァリエ(Iain Valliere)は、カナダ出身のIFBBプロボディビルダー。
数々の大会で好成績を収めており、ボディビルダーとしては世界的にも有名な選手。
現在はクリスバムステッドの姉と結婚し、2人は義理の兄弟となっている。
クリスは最初のボディビル大会で、姉のメリッサと一緒に参加し、オーバーオール優勝。
ジュニア部門で初出場にして初優勝を収めた。
そしてこの大会でボディビルに魅力に惹かれ、このスポーツに全力を注ぐことを決意した。
バムステッドは2014年に19歳で競技デビューし、2016年のIFBBノースアメリカンボディビル選手権で優勝したことで、21歳でIFBBプロカードを取得。
2017年のミスターオリンピアでは、クラシックフィジーク部門で2位を獲得した。
2018年のミスターオリンピアでは、大会の4週間前に水分がたまり入院し、3日間の入院生活を送った。
腎臓の問題でカリウムを排出するための利尿剤を使い、退院後もトレーニングを続けたのだが、惜しくも準優勝。悔しい結果となった。
しかしそこからクリスは2019年から2023年までミスターオリンピアを5連勝し、不動のチャンピオンとなった。
クリスの肉体
バムステッドの最大の武器は、その圧倒的なVシェイプと美しいシルエット。
彼の身長185cmという長身に加え、ウエストの細さと肩幅の広さが相まって、他の選手を圧倒する存在感を放っている。
とくに2020年以降はさらに背中の厚みと脚部の発達が進化し、「完全なフィジーク」と言われるほどの体を手に入れた、
メンタル状態についても赤裸々に告白
クリスはメンタルヘルスの問題にも正直に向き合っており、SNSやインタビューで彼の性格である「完璧主義」に対するプレッシャーやメンタルのケアについて語っている。
このような人間的な一面も、彼が多くのファンから愛される理由の一つなのだ。
クリス・バムステッド vs ラモン・ロシャ・ケイロス(ラモン・ディノ)
クリス・バムステッドとラモン・ロシャ・ケイロスの戦いは、近年のクラシックフィジークで最も注目されている最高のライバル。
ラモン・は、2022年のオリンピアで初めてクリスと本格的に対戦し、堂々の2位に輝いた。
この時のラモンの登場は、フィジーク界に「クリスの王座を脅かす存在が現れた」と大きな衝撃を与えたのだった。
ライバル関係
クリスとラモンは競技場では激しいライバルですが、互いにリスペクトし合う姿勢も見せています。
とくに2023年のオリンピアでは、ラモンの体がとてつもない進化を遂げ、クリスにあと一歩のところまで詰め寄った。
結果的にはクリスが差を見せつけ再び優勝したが、今後この2人の戦いがさらに激化し、クラシックフィジークにおける大きな話題になることは間違い無いだろう。
ファンや評論家の中には、ラモンが次世代のクラシックフィジーク王者になる可能性があると思っている人もいて、今後数年の間に彼がクリスを破る瞬間が来るのではないかと期待されている。
クリスバムステッドが引退へ!?
クラシックフィジークの進化と未来
クラシックフィジークは、2016年にスタートしてから急速に進化し、クリス・バムステッドやラモン・ロシャ・ケイロスのような選手たちが新しい時代を作り出している。
今後も美しさと力強さを兼ね備えた選手たちが登場し、クラシックフィジークのレベルはさらに高まるだろう。
ぜひ、これからのクラシックフィジークの競技に注目し、さらなる激戦を見届けてほしい!
文・編集:月刊 MEN’s PHYSIQUE 編集部 (@gekkan_mensphysique)
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