マルチビタミンサプリメントは、栄養を補うための便利な方法として広く利用されています。
最近の研究では、普段の食事で十分な栄養を摂取している人がさらにサプリメントを摂取すると、栄養の過剰摂取となり、健康に悪影響を与える可能性が指摘されています。
ということで今回の記事では、最新の研究結果を踏まえ、マルチビタミンサプリメントの効果とリスクについて詳しく解説します。
そもそもマルチビタミンサプリの効果は?
そもそも「マルチビタミンってどんな効果があるのかわからない!」という方のために、まずはマルチビタミンサプリメントの効果についてご紹介していきましょう!
・ハーバード大学による研究
ハーバード大学公衆衛生大学院が実施した「Physicians’ Health Study II」という50歳以上の男性14,641人を対象に14年間にわたって行われた大規模な研究では、マルチビタミンサプリメントの摂取ががんのリスクを約8%低下させる可能性があるという結論が出ました。
なかでも、栄養が不足しがちな高齢者にとってサプリメントは一定の予防効果があるという結論が出ています。
・認知機能への良い影響
また別の研究では、マルチビタミンサプリメントが高齢者の認知機能低下を抑制する効果がある可能性があるという結論が出ています。
ビタミンB群やビタミンDの不足が認知機能に悪影響を与えることが知られており、これらをサプリメントで補うことで認知機能の維持に役立つ可能性があります。
2024年に衝撃の研究結果が…
ですが、2024年にイギリスで今までの常識を覆すような研究結果が出ました。
・実際の研究結果
2024年に発表された「UK Biobank cohort study」では、2006年から2010年にかけて約39万人(40歳から69歳の男女比は「1:1」)を対象に、20年以上にわたってマルチビタミンサプリメントの摂取と全死亡率の関係を調査した結果、マルチビタミンを定期的に摂取することで全死亡率が約4%増加するリスクがあることが明らかになりました。
とくにビタミンの過剰摂取が心血管疾患やがんのリスクを高めることが確認されており、特別な医療的ニーズがない限り、栄養は自然な食事から摂取することが推奨されました。
各ビタミンの過剰摂取によるリスク
・ビタミンEとA、ベータカロテン
ビタミンE、ビタミンA、ベータカロテンは過剰摂取することで心血管疾患やがんのリスクが増加することが示されています。
ビタミンAの過剰摂取は肝臓に負担をかけ、骨の健康にも悪影響を及ぼす可能性があり、ベータカロテンの過剰摂取は、喫煙者の肺がんのリスクを高めることがわかっています。
・ビタミンD
ビタミンDは骨の健康を維持するために必要不可欠ですが、過剰に摂取すると血中のカルシウム濃度が異常に高くなり腎臓に石ができる可能性があります。
さらに血管にカルシウムが蓄積されやすくもなるので、動脈硬化のリスクが高まるとも言われています。
とくにサプリメントからビタミンDを摂取する際には、過剰摂取にならないように注意が必要です。
・ビタミンE
「SELECT試験」として知られる大規模な臨床試験では、ビタミンEとセレンのサプリメントを高用量で摂取することで前立腺がんのリスクが増加する可能性が示されています。
35,000人以上の男性を対象としたこの研究では、ビタミンEを摂取したグループで前立腺がんの発症率が高かったことが報告されています。
これにより、特定の栄養素を過剰に摂取するリスクが強調されています。
SELECT試験はもともと、ビタミンEの摂取が前立腺がんを改善するのではないかという仮説にもとづいて開始されました。
しかし結果はまったくの逆。
前立腺がんの予防効果どころか、むしろそのリスクを増加させる可能性があるということが明らかになりました。
そのため本来12年間調査する予定だったこの試験は、被験者の健康を優先し7年で終了しました。
個別ニーズに応じたサプリメント選び
遺伝的要因とビタミン代謝
遺伝的要因によって特定のビタミンやミネラルの代謝が異なる場合があります。
例えば、ビタミンD代謝に関連する遺伝子変異を持つ人は通常よりも多くのビタミンDが必要ですが、そうでない人は過剰摂取に注意が必要です。
そのためサプリメントを選ぶ際には、自分の遺伝的背景や健康状態を考慮した上で適切な量を守ることが大切になります。
食生活が荒れている時のサプリ摂取も要注意
食生活が乱れている場合、特定のビタミンやミネラルを補うためにサプリメントが役立ちます。
ただし、偏食の場合には何か一つのビタミンがとても多くなってしまっているケースが多いため、それに気づかないままマルチビタミンを摂取し続けると過剰摂取になることがあります。
とくにビタミンEは煎茶やポテトチップスの油、スイーツなどでよく使うショートニングやナッツ類などに多く含まれているため、過剰摂取になるリスクが高いです。
まとめ
マルチビタミンサプリメントは、栄養を補うための便利な手段です。
しかしバランスの取れた食事や偏った食事をしている場合、追加のサプリメントが栄養の過剰摂取につながり健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
とくに、ビタミンA、ビタミンE、ベータカロテンなどの脂溶性ビタミンは体内に蓄積されやすく、過剰摂取による心臓病やがんのリスクが増加することが明らかになっています。
そのため、マルチビタミンサプリメントを使用する際には自分の栄養状態をよく理解し、適切な量を守ることが重要です。
また、サプリメントに過度に依存するのではなく、バランスの取れた食事を基本とし、サプリメントはあくまで補助的な役割として活用することが理想的です。
サプリメントを使用する際には健康へのリスクを最小限に抑えるために、定期的に医師や栄養士と相談し自分に合った適切な栄養補給方法を見つけるのが良いでしょう。
それでは良いフィットネスライフを!!
文・編集:月刊 MEN’s PHYSIQUE 編集部 (@gekkan_mensphysique)
※一部内容作成にAIを使用しています。
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