忙しい人にとって、筋トレが夜になるのは仕方のないこと。
ですが夜のトレーニングは「睡眠の質が悪くなる」と言われています。
では一体何時まで筋トレをして良いのでしょうか?
今回はそんな夜の筋トレの注意点について解説します!
カフェインなどの摂取するものについても解説するので、気になる方はチェックしてください!
夜のトレーニングは何時まで大丈夫?
まず結論から言います。
夜に行うトレーニングは、睡眠の3時間前までに終わらせるのがベストです。
3時間前までに終わらせると睡眠の質が下がりづらく、気持ちよく眠れるようになります。
反対にそれよりも後になってしまうと睡眠の質が下がったり、なかなか寝付けずに睡眠不足になってしまったりするので注意が必要です。
夜遅くの筋トレが睡眠に与える影響
夜遅くに筋トレをおこなうと睡眠に悪影響を及ぼす可能性があります。
理由は以下の通り。
1, 体温の上昇
基本的に、就寝時に体温が低下すると体がリラックスしやすくなり自然と眠くなります。
ですが筋トレで体温が高くなってしまうと体がリラックスできず、入眠が遅れる可能性があります。
2, アドレナリンの分泌
筋トレはアドレナリンの分泌を促進します。
アドレナリンは「闘争本能」を掻き立てるホルモンで心拍数や血圧、体温を上昇させて代謝を高めます。
これが原因となり筋トレ後に覚醒状態が続くことで、寝付きにくくなることがあります.
3, 交感神経の活性化
筋トレは交感神経を活性化させます。
この交感神経が活発な状態だと、リラックスして眠るために必要な副交感神経の活動が抑えられてしまいます。
そのため夜遅くに筋トレを行うと交感神経が優位なままになり、寝つきが悪くなる可能性があるのです。
研究結果から見る夜の筋トレと睡眠の関係性は?
今現在、いくつかの研究では夜遅くの運動が睡眠に与える影響について調査されています。
たとえば、2019年のJournal of Physiologyに掲載された研究。
この研究では就寝前の運動が睡眠にどのような影響を与えるのかを調査したのですが、その結果「就寝の1時間前に高強度の運動を行った場合、睡眠の質が低下すること」が確認されました【k1】。
一方で、適度な時間に運動を行うことが睡眠の質を向上させるという研究結果もあります。
2015年のInternational Journal of Sports Medicineに掲載された研究では、就寝の2時間前に筋力トレーニング(無酸素運動)を行なった場合、全体的な睡眠効率が向上し、夜間の覚醒時間が減少したことが確認されました。
これは筋力トレーニング後の疲労感が深い睡眠を促進したと考えられています。
タイミングに注意が必要
このように、夜にトレーニングをする際にはタイミングに注意が必要です。
理想は前述したとおり、就寝の2〜3時間前までにトレーニングを終えること。
これができれば体温やアドレナリン、交感神経の影響が最小限に抑えられ質の高い睡眠をとることができます。
適切なタイミングでの運動を心がけ、自分に合ったルーチンを見つけることが大切です。
▼夜の筋トレと睡眠の関係性についての詳しい研究結果は下の記事を参考にしてください。
▼参考文献
- Stutz, J., et al. (2019). Effects of evening exercise on sleep in healthy participants: A systematic review and meta-analysis. Journal of Physiology, 597(15), 3863-3886.
- Flausino, N. H., et al. (2015). Effects of evening resistance exercise on sleep architecture and nocturnal cardiac autonomic activity. International Journal of Sports Medicine, 36(3), 201-206.
カフェインの摂取は大丈夫?
カフェインはアドレナリンの分泌を促進するので、運動中の集中力と持久力アップ、そして筋トレのパフォーマンスを向上させる効果があります。
ですがカフェインの効果は摂取してから3〜5時間ほど続くため、夜遅くに摂取すると睡眠の質に悪影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、カフェインがアデノシン受容体をブロックし眠気を抑えます。
これにより「入眠が遅れる」「睡眠が浅くなる」「夜中に目が覚める」といった問題が発生しやすくなってしまうのです
カフェイン摂取と睡眠の質
夜に筋トレを行う場合、カフェインを摂取するタイミングには注意が必要です。
トレーニングのことだけを考えるなら、筋トレ開始の30〜60分前にカフェインを摂取するのがベスト。
夜7時に筋トレを開始するならカフェインは午後6時から6時半の間に摂取する、といった具合ですね。
しかし、夜の睡眠のことを考えるならこれはベストとは言えません。
どうしても夜間のカフェイン摂取が避けられない場合は、以下の点を考慮すると良いでしょう。
①自分のカフェインの半減期を把握しておく
カフェインの効果が半減するまでには平均で約5〜6時間かかります。
ですが、この長さには多少個人差があります。
早い人なら4〜5時間で半減しますが、長い人なら7〜8時間かかるでしょう。
早い人の場合は、
『トレーニングの1時間前にカフェインを摂取 → 1〜2時間トレーニングを行う → その2時間後に就寝』
という流れで行えば、睡眠の質もあまり下がらずに済みます。
ですが半減するまでが長い人はそれだと睡眠に影響が出てしまうので、トレーニングの2〜3時間前にカフェインを摂取しておくのが良いでしょう。
これならトレーニング中はカフェインの効果が続いて、寝る時には半減します。
夜のトレーニング前にカフェインを摂取していて睡眠が浅くなっている人は、一度カフェインをトレーニングの2〜3時間前に摂ってみるのがおすすめです!
トレーニング中もカフェインの効果は続くので騙されたと思ってやってみてください。
②睡眠環境を最適化する
カフェインを摂取していても、寝室の環境を整えることで睡眠の質を改善することができます。
例えば、間接照明などで暗く静かな環境を作りあげて落ち着けるようにしたり、寝る前に読書や音楽鑑賞、ストレッチなど画面を見ずに過ごすリラックスタイムを設けることが効果的です。
これを行えば入眠がとてもスムーズになり、質の高い睡眠を確保することができます。
③カフェインの代替品を活用する
夜間にトレーニングをする場合はいっそのこと、カフェインフリーのプレワークアウトサプリメントを試してみるのも良いでしょう。
これにより、睡眠の質を下げずにトレーニングのパフォーマンスを向上させることができます。
中でもおすすめなのは以下の6つです。
- BCAA
- L-シトルリン
- ベータアラニン
- クレアチン
- L-テアニン
- ビタミンB群
- 電解質飲料
それぞれ見ていきましょう!
1, BCAA(分岐鎖アミノ酸)
【効果】
筋肉の成長と修復をサポートし、トレーニング中の疲労感を軽減します。
【摂取タイミング】
トレーニング前30分〜1時間前。
【備考】
BCAAはエネルギーを供給し、筋肉の分解を防ぐため、夜のトレーニングにも適しています。
2, L-シトルリン
【効果】
血流を改善し、トレーニング中の持久力を向上させます。疲労回復にも効果があります。
【摂取タイミング】
トレーニング前30分〜1時間前。
【備考】
L-シトルリンは一酸化窒素の生成を促進し、筋肉への酸素供給を増加させます。
3, ベータアラニン
【効果】
筋肉内のカルノシンレベルを上げ、運動時の疲労感を軽減します。
【摂取タイミング】
トレーニング前30分〜1時間前。
【備考】
持久力とパフォーマンスの向上に寄与し、カフェインのような覚醒効果はありません。
4, クレアチン
【効果】
筋力とパワーの向上をサポートし、短時間の高強度運動のパフォーマンスを改善します。
【摂取タイミング】
トレーニング前または後。
【備考】
体内のエネルギー供給を助け、筋肉の回復を促進します。睡眠には影響を与えません。
5, L-テアニン
【効果】
リラックス効果があり、ストレスを軽減します。
カフェインと組み合わせることで、カフェインの副作用を緩和する効果もあります。
【摂取タイミング】
トレーニング後。
【備考】
緊張を和らげるため、トレーニング後のリラックスにも役立ちます。
6, ビタミンB群
【効果】
自然なエネルギーブーストを提供し、疲労感を軽減します。
【摂取タイミング】
トレーニング前30分〜1時間前。
【備考】
カフェインを含まず、ストレス耐性を向上させます。
7, 電解質飲料
【効果】
水分補給とエネルギー補給をサポートし、トレーニング中のパフォーマンスを維持します。
【摂取タイミング】
トレーニング中および後。
【備考】
カフェインを含まず、身体の電解質バランスを保ちます。
BCAA、L-シトルリン、ベータアラニン、クレアチンなどは、睡眠の質を損なうことなくトレーニング効果を高めるのにおすすめです。
また、L-テアニンはリラックス効果をもたらしトレーニング後の回復を助けます。
これらを適切に活用して、夜のトレーニングと質の高い睡眠を両立させましょう。
まとめ
結論としては「夜のトレーニングは寝る2〜3時間前までに終わらせればOK」、「カフェインの摂取はタイミングに気をつけるor代替品を活用すればOK」ということになりました。
夜の筋トレが睡眠の質を下げるという研究はあまりなかったので、夜トレに関してはそこまで気にする必要はないと思います。
それ以上にカフェインと睡眠環境の2つにしっかりと目を向けて、質の高い睡眠を取れるようにしていきましょう!
それでは良いフィットネスライフを!
文・編集:月刊 MEN’s PHYSIQUE 編集部 (@gekkan_mensphysique)
コメントを残す