筋肥大をさせるためには、睡眠が必要だというのはトレーニングをしている人にとっては周知の事実。
しかし具体的にどうしたら良いのか、何分に寝ると良いのか、またそれはなぜなのか、というのを明確に答えられる人は少ないだろう。
ということで今回は、筋肥大をさせるための正しい睡眠法について徹底解説していく。
少々中身がボリューミーになっているのが大切なことばかりが書いてあるので心して読んでくれ!
睡眠で大切なものとは?
筋肥大をさせるための睡眠で大切なのは
- 睡眠時間
- 睡眠の質
である。
この2つをベストなものにできれば成長ホルモンが大量に分泌され筋肥大するだけでなく、日中に疲れが残らなくなるためトレーニングの質が上がり更なる成長につながるだろう。
ベストな睡眠時間には個人差がある
睡眠時間は一般的に7時間以上取った方が良いと言われるが、長ければ長いほど良いというわけではない。
ベストな睡眠時間というのは年代差や個人差があるのだ。
年齢によって変わる必要睡眠時間
人間というのは年齢によって必要な睡眠時間が変わってくる。
下記の図は良いとされている睡眠時間を表した図だ。
10代では8時間ほど必要だった睡眠時間も、20~30代では7時間、40代で6.5時間となり、60代になると6時間で十分となる。
(stage1〜REMまでが睡眠時間)
このことから、年齢を重ねれば重ねるほど必要な睡眠時間が短くなるというのがわかるだろう。
今のあなたの年齢とこの表のREMの部分までの時間を照らし合わせて睡眠時間を計算してみてほしい。
ショートスリーパーの場合
睡眠時間が5時間以下でも、健康上何の問題も起こらないという特異遺伝子を持つ「ショートスリーパー」と呼ばれる人たちがいる。
ショートスリーパーについては5時間以下でも体が休まり、成長ホルモンなどのホルモンもしっかりと分泌されるため、比較的短い睡眠時間でも良い。
しかし全人口の約1%しかいないと言われているため、ほとんどの人は5時間以下の睡眠にしない方が良いだろう。
後天的にショートスリーパーになれるという方法や本がたくさんあるがまだ科学的に立証がされていない。
実験でショートスリーパーになることに成功したという論文も信頼しきれないものが多く、今のところ現実的ではないと考えられている。
ちなみに6時間以下の睡眠で健康体を維持できる人の割合は5〜10%程度いると言われている。
ロングスリーパーの割合
睡眠時間が9時間以上でないと、眠気や体調不良など健康に害が出る特異遺伝子を持つ「ショートスリーパー」と呼ばれる人たちもいる。
このロングスリーパーは全人口の5〜10%存在すると言われており、ロングスリーパーの場合は9時間以上の睡眠が必要となる。
自分のベスト睡眠時間を知る方法
自分のベストな睡眠時間が何時間なのか、ショートスリーパーなのかロングスリーパーなのかを知りたいという人も多いだろう。
それを知る最も信頼性の高い方法は、5日〜6日ほどかけて行う方法だ。
目覚ましをかけず、カーテンも閉めっぱなしにして陽の光が入らないようにし、自然に目が覚める時間に起きて何時間眠ったかを計る。
最初の1〜3日は日頃の睡眠不足を解消しようと睡眠時間が長くなってしまうが、4〜5日ほどかけて自分にとって必要な睡眠時間に徐々に落ち着いてくるのだ。
この方法で調べるとより確実に「自分にとってベストな睡眠時間」を知ることができる。
近年の研究では寝溜めはできないが睡眠負債を返済することはできると言われている。
日頃の睡眠時間を長く寝ることで解消しようとするのはそのためなのだ。
しかしこの方法はかなり時間をかけて行うため、一般の人ではなかなかできないだろう。
簡単にできるオススメの方法
誰でも現実的に行いやすく、かつ精度がとても高い方法がある。
それは、「一定期間同じ睡眠時間をし続ける」という方法だ。
具体的には、2〜3週間ほど同じ睡眠時間(まずは7時間にするのがオススメ)にしてみて、日中に眠気や疲れなどがなく集中力が続くかどうかを観察する。
(トレーニングの際の重量や集中力が何分続くかも見ておくと良いだろう。)
全く問題がなければその時間があなたのベストな睡眠時間となる。
日中に眠気があった場合には睡眠時間が短いことが考えられるため睡眠時間を少し伸ばし、入眠に時間がかかったり朝早く起きてしまうようであれば睡眠時間が長いことが考えられるため、睡眠時間を短くして再度経過観察をしてみよう。
2〜3週間が難しい場合には1週間〜10日ほどで試してみてほしい。
若干精度は落ちるが、それでも信頼性の高い結果が得られるだろう。
結果を早く求めるが故に2〜3日しか続けない人もいるが、それでは信頼できる結果は得られないため最低でも1週間は続けるようにしよう。
(最初の1〜3日程度は日頃の睡眠不足を解消しようと睡眠時間が長くなるため)
睡眠の質を上げる方法
どんなに睡眠時間を長くしようが、睡眠の質が低ければ成長ホルモンはあまり出ず筋肥大しにくくなってしまう。
逆に言えば睡眠の質を上げれば成長ホルモンがたくさん出て筋肥大しやすくなるのだ。
そんな睡眠の質を上げるには
- 日中の行動
- 夜の行動
この2つが重要になってくる。
日中と夜とではやるべきことが大きく変わってくるので、それぞれの行動をしっかりと頭の中に叩き込んでおこう。
日中の行動
日中にすべきことは主に3つある。
1つずつみていこう。
朝は日光or強い光に15分以上当たる
体の中には体内時計というものが存在する。
体内時計が狂ってしまうと実際の時間とのギャップが生まれてしまい、寝るべき時間になっても体はまだ起きているべき時間だと誤認し、眠れなくなってしまう。
これを解消するためには毎朝体内時計をリセットし、今が朝だと体に認識させなくてはいけない。
そのリセットする方法こそが「朝に強い光を浴びること」なのだ。
15分ほど光を浴びると体内時計が完全にリセットされるので、朝15分ほど外で散歩するなどしてみると良いだろう。
強い光を浴びるとセロトニンと呼ばれる脳を覚醒させる物質が分泌される。
このセロトニンの働きによって、脳は今が朝だと認識するのだ。(朝日を浴びると目が覚めるのもそのため)
セロトニンは1500〜2500ルクス以上の明るさで分泌されると言われている。
太陽光は50,000〜100,000ルクスで、曇っていても10,000ルクスあると言われているため外に出て15分ほど散歩することはとても有効だ。
それに対し部屋の中の明るさは500〜1000ルクスが一般的だと言われている。
そのため、もし天気が悪く外に出れない時は、カーテンを必ず開けてなるべく部屋の中を明るくするようにしてみよう。
日があまり差さない部屋の場合は、家の中の強い証明に15分ほど当たるのもアリだ。(蛍光灯にできるだけ顔を近づけるなども有効)
筋トレor軽い運動をする
夜の睡眠の質を高めるためには日中にある程度体を動かしておく必要がある。
トレーニングをしている人なら体を動かしている人がほとんどなのであまり問題はないが、可能であればトレーニングをしない日も散歩をするなどして軽く体を動かしておくと良いだろう。
昼間に体を動かした場合とそうでない場合とでは夜の睡眠の質に大きな差が出るため、ぜひ実践してみて欲しい。
夕方以降に昼寝をしないこと
昼寝自体は日中の疲れを回復させ脳の疲労も取れるためとても良いのだが、それを夕方以降にしてしまうと良くない。
夕方以降の昼寝は、夜の睡眠を妨げる可能性があるからだ。
体の中には睡眠欲に大きく関わる「セロトニン(覚醒物質)」と「メラトニン(睡眠物質)」という2つのホルモンがある。
セロトニンが多いと脳は覚醒し集中力・やる気が上がり、メラトニンが多いと集中力ややる気が低下し眠気が強くなると言われている。
昼寝には、メラトニンを減らしセロトニンを増やす効果があるため、昼の12時前後に寝ることで脳が覚醒し集中力とやる気が上がるのだが、これを夕方以降にやってしまうと脳が覚醒しすぎて夜に眠れなくなってしまうのだ。
睡眠学の世界では、就寝時間の6時間以内になったら昼寝はしない方が良いという考えが一般的。
11時に寝る人なら夕方5時以降、12時寝る人なら夕方6時以降は昼寝をしないようにした方が良いだろう。
夜の行動
睡眠の質は「眠りについた最初の30分でいかに深く眠れるか」で決まる。
そのため夜の行動は日中の行動以上に大きく影響するのだ。
日中の行動を制限できない人は、夜の行動を変えていくだけでも大きく改善されるのでここからの話はとくに参考にしてほしい。
日没後は部屋の照明を”電球色”&”間接照明”にする
人間はもともと日没とともに眠りにつく生き物。
夜に部屋の照明などの光にさらされると、脳が昼間と勘違いをして眠れなくなってしまうのだ。
(この理由としては光でセロトニンが増え、メラトニンが減ってしまうから)
とくに光の色は重要で、夜に昼光色や昼白色といった照明の色(とくに青みがかった色)は脳を覚醒させ睡眠の質を大きく下げてしまう。
さまざまな睡眠学の論文では「日没後は夕日の色(オレンジ色)の照明にするとリラックスできて深い睡眠が取れる」と言われている。
そのため日没後は白色の照明をつけないようにし、電球色にして過ごすと良いだろう。
そしてもうひとつ、照明の強さも重要だ。
夜は本来、光がほとんどない時間帯。そんな時に強い光を浴びてしまえば、いくら電球色でリラックスできる色だったとしても脳は覚醒して深い睡眠が取れなくなってしまう。
そこでおすすめなのは間接照明だ。
間接照明を使うと、体に直接強い光が当たることがなく脳への刺激が少なくて済む。
それによって夜だとしっかりと認識でき、睡眠の質を確保できるのだ。
間接照明のでもあまりに明るいとあまり効果が期待できないので、明るさをある程度抑えたものが良い。
ベストな明るさは本が読める程度の明るさだ。
最初は暗く感じるかもしれないが、慣れてくれば意外と明るく感じることができるだろう。
また、就寝時間が近づくにつれて部屋の明るさをどんどん暗くしていくとさらに睡眠の質は高くなるのでやってみてほしい。
湯船に浸かる
人間は体温が上がると目が覚め、体温がさがると眠くなる。
そのため、寝る前にいかに体温を下げられるかが重要なのだが、その最も良い方法が湯船に浸かることなのだ。
「湯船に浸かったらとむしろ体温があがって眠れなくなっちゃうんじゃないの?」と思ってしまうかもしれないがそれは違う。
確かに風呂から出た直後は体温が高く眠くなることはない。
しかし入浴によって急激に体温が上がると人間の体は、平熱に戻そうとして体温をさげていく。
そしてどんどんと体温を下げようとした結果、必要以上に体温を下げてしまい低体温となるのだ。
これによって眠気が強くなり、睡眠の質が上がるというワケ。
1〜2時間前から画面を見ないようにする
寝る前に画面を見ると睡眠の質がかなり落ちてしまう。
これは先ほど説明した、照明の色と強さの部分と理由はほとんど同じだ。
ご存知かと思うがスマホやテレビ、パソコンなどにはブルーライトと呼ばれる光が含まれている。
このブルーライトは目の奥まで届くとても強い光で、夜に見ることで脳が刺激され覚醒してしまう。
そのため、ブルーライトを含むディスプレイは見ないようにするべきだ。
とくに寝る前1〜2時間は睡眠の質に大きく関わり、目への刺激が少しでも入ると寝れなくなってしまったり睡眠の質が落ちてしまったりするため、絶対に見ないようにしよう。
夜寝る前の過ごし方は、読書がおすすめ。
スマホやテレビ・パソコンなどと違って情報量が少なく光を発さないので、脳を休めることができる。
なかでも哲学書などの難しい本を読むと眠気が強くなり、眠りの質も向上すると言われいるのでおすすめだ。
通知も消す
人間の脳はスマホの通知が来るだけでもストレスを感じ、睡眠の質が大きく落ちる。
(通知の内容を確認したいという欲求を抑え続けるため)
もっと言えば「通知が来るかもしれない」と思うだけでもストレスを感じてしまうため、寝る前はスマホと距離をとるのが良いだろう。
寝室があるのであれば、スマホを絶対に寝室に持っていかないこと。
同じ部屋なのであれば、スマホの電源を切るか通知が来ない設定にすること。
これが大切だ。
スマホでアラームをかけているという人は、目覚まし時計を買うことをおすすめする。
とにかく夜はスマホを避けて睡眠の質を確保しよう。
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