EAAとBCAA、どっちが良いのか論争…
トレーニングをしていく上で、EAAとBCAAどちらの方が良いのかという話をよく聞くだろう。
人によって言うことはさまざまで何が本当に正しいのかがよくわからないという人も多いはずだ。
この記事では、そんなEAAとBCAAの違いやどちらの方が良いのかについてわかりやすく解説していく。
この記事を読んで、トレーニングライフをより良いものにしていっていただきたい。
EAAとBCAAの成分の違いは?
EAAとBCAAはそもそも含まれている成分が違う。
この成分の違いについてしっかりと覚えておくと、2つの違いも理解しやすいため頭に入れておこう。
EAAの成分
EAAは「Empty amino acid」の略称で、日本では「必須アミノ酸」と呼ばれている。
「必須アミノ酸」というのは、体内で作り出すことのできないアミノ酸のことを言う。
通常、人間の体というのは食べたものを”化学変化”させてまったく別の成分や物質を作り出すことができる。(消化吸収も化学変化の一つと言われている)
しかし、中には化学変化で作り出せない成分も存在する。その中のひとつが「必須アミノ酸」。
体内で作ることが出来ず、必ず外から摂取しなくてはいけないため”必須”アミノ酸と呼ばれている。
このEAAには以下の9つの種類が含まれている。
- フェニルアラニン
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
- ヒスチジン
- トリプトファン
- リジン
- メチオニン
- スレオニン
BCAAの成分
BCAAは「Branched chain amino acid」の略称で、日本では「分岐鎖アミノ酸」と呼ばれている。
このBCAAには以下の3つの種類が含まれている
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
EAAの中にBCAAが入ってる?
気づいた方もいると思うが、BCAAのに含まれる3種類はEAAにも含まれている。つまりはBCAAはEAAの中の一部ということなのだ。
こうなると、EAAだけ摂取すればBCAAの効果も得られるからそれで良いのではないかと考える人も出てくるだろう。
しかしそれは違う。
というのもEAAとBCAAでは効果が少し変わってくるのだ。
ここからはそれについて紹介していこう。
EAAとBCAAの効果の違いは?
EAAとBCAAの効果の違いはいくつかある。
2つの効果の違いを比べるためにそれぞれの効果について見ていこう。
EAAの効果
・筋肉の分解を抑制する
大前提として覚えておいて欲しいのが、アミノ酸というのはタンパク質を分解した形であるということ。
人間のというのはタンパク質そのままでは体の機能に役立てることが出来ない。(筋肉を作りだす等)
そのためタンパク質を摂取した時は、体に使われやすいアミノ酸に分解してから吸収している。
※アミノ酸はタンパク質の分解された形。いくつものアミノ酸が結合したものがタンパク質と呼ばれる。
アミノ酸は体の中で分解せずにそのまま吸収することができるので、血中のアミノ酸濃度をすぐに上げることができるのだ。
血中のアミノ酸濃度が高いと『筋肉を分解して血中アミノ酸濃度を高くする』必要がなくなるので筋分解を防ぐことが出来る。
筋肉は、血液中の糖(グリコーゲン)・脂質・たんぱく質(アミノ酸)をエネルギーとして使用している。
しかし、激しい運動などでエネルギーが足りなくなった際には、タンパク質からエネルギーを得るために筋肉を分解してしまうこともよくある。
(とくに激しい運動では筋肉を分解してエネルギーを作り出されやすい)
そのため、血中のアミノ酸濃度を高くしてエネルギー不足にならないようにしておく必要があるのだ。
・筋肉の合成を促進
EAAは筋合成を促すという働きもある。
筋肉の合成を促すのには、「アミノ酸」と「ロイシン」が必要と言われており、EAAにはこの2つが入っているためEAAを取るだけでも筋肉を作り出すことが可能だ。
EAAの落とし穴
・筋肉の肥大には物足りない
そもそもEAAは必須アミノ酸のみで構成されているため、筋肉を肥大させるために必要なグルタミンなどの他のアミノ酸を含んでいない。
そのため、EAAは”筋肉の肥大”という意味ではあまりお勧めできない。
・筋合成を促進させる効果はBCAAに劣る
EAAは必須アミノ酸を網羅している。
そのため、その効果は多岐に及ぶ。
しかし、全ての必須アミノ酸を満遍なく含んでいるがゆえに、何かに特化した働きに弱いというデメリットがある。
その代表的なものが、筋合成の促進効果だ。
確かに、EAAだけでも筋合成は促進される。
しかし、筋合成に最も効果的と言われるロイシンをより多く効率的に摂取するとなるとBCAAに劣ってしまうのだ。
BCAAの効果
・筋肉の合成を促進
BCAAの一番の効果は筋肉の合成を促すことである。
BCAAの中に含まれるバリン・ロイシン・イソロイシンには筋肉の合成を促す効果があると言われているのだ。
とくに、ロイシンは筋肉を増やすためにとても重要だと結論づけているエビデンスも数多い。
・筋肉の分解を抑制
BCAAは激しいトレーニングによる筋肉の分解を抑制する効果がある。
血中のBCAAの濃度を上昇させて筋肉の分解を抑制し、さらに摂取したBCAAが代わりにエネルギーにもなってくれるのだ。
・疲労への抵抗力向上
BCAAを摂取するとトレーニングなどでの疲労が減るというエビデンスもある。
疲労は運動やトレーニング時にパワーが落ちるほか、集中力の低下、パフォーマンスの低下などのリスクがあるため、疲労に強くなるというのはとても大切だ。
BCAAの落とし穴
・BCAAだけでは筋合成できない
BCAAの大きな効果のひとつとして「筋合成の促進」がある。
しかしこれはあくまでも「筋合成をの”促進”」という効果であり、BCAAだけでは筋合成出来ない。
というのも、BCAAには筋合成に必要なアミノ酸が足りていないのだ。
BCAAがもつ「筋合成の促進」という効果を最大限に発揮するためには血中にアミノ酸がなくては行けない。
言ってしまえば、BCAAはスポーツのコーチや監督のような存在であり、あくまでも筋合成を”させる”ことしかできないのである。
そのため、トレーニングの前にプロテインやEAAを摂取して血中アミノ酸濃度をあげておく必要があるのだ。
トレ前にプロテインを摂取するのかEAAを摂取するのかで摂取するべきタイミングは違う。
プロテインの場合は、摂取してから血中アミノ酸濃度が最大限上がるまで60分〜かかるので、トレーニングの1時間ほど前に飲んでおく必要がある。
対してEAAは摂取すれば血中アミノ酸濃度をすぐにあげてくれるため、トレーニングの直前で大丈夫だ。
EAA・BCAAの摂取タイミングは?
では上記の効果を踏まえた上でおすすめの摂取タイミングについて紹介していこう。
EAAのおすすめのタイミング
EAA摂取のおすすめのタイミングは
- トレーニング前
- トレーニング中
- 食間
の3つだ。
・トレーニング前
トレ前は激しい運動のためにエネルギーを補給しておかなければいけない。
とくに血中のアミノ酸濃度が低いと筋分解を起こしやすくなり、筋肉量を増やしたいから筋トレしているのに逆に減ってしまうということになりかねない。
それを防ぐためにもトレーニング前にEAAを摂取することがオススメ。
・トレーニング中
トレーニング中も絶えず筋肉の合成は行われている。
そのため、トレーニング中に摂取することで筋肥大効果が期待できる。
また、トレ中は血中のアミノ酸がどんどん使用されて減ってしまうので、EAAで補給できれば筋分解の抑制にもつながる。
・食間
トレーニングをしている人ならご存知だろうが、日常生活の中でも血中アミノ酸濃度というのはどんどん減っていく。
そうならないようにこまめに食事を取れれば良いのだが、現代に生きる人にとってそれはかなりハードルが高い。
そういう時に簡単に摂取できるEAAがオススメなのだ。
もちろんプロテインでも良いのだが、プロテインはどうしても血中アミノ酸濃度が上がるまでに1時間ほどかかってしまう。
その間に筋分解が起こる可能性も十分にありうる。
そのため、即吸収のEAAが有効なのだ。
多少空腹を感じているときは筋分解が始まっている恐れがあるためEAAを摂取、あまり空腹感がない時は筋分解はまだ始まっていない可能性が高いためプロテインを摂取というように使い分けるのがおすすめ。
ただし、プロテインの方がタンパク質の含有量が多いため基本的にはプロテインを飲むようにした方が良いだろう。
BCAAのおすすめのタイミング
BCAA摂取のおすすめのタイミングは
- トレーニング前
- トレーニング中
の2つ。
・トレーニング前
BCAAは前述した通り筋肉の合成を促し、筋肉の分解を抑制する効果がある。
とくにトレーニングにおいては筋肉の分解に気をつけなくてはいけないが、トレーニング前にBCAAを摂取し血中のBCAA濃度をあげておくことで分解を抑えることができる。
・トレーニング中
トレ中もBCAAを摂取して血液中のBCAA濃度をあげておけば筋分解しにくくなるためオススメ。
トレ前とトレ中はEAAとBCAAそれぞれどっちを飲むべき?
これに関しては昨今さまざまな研究がされており、未だ結論が出ていない。
トレ前にBCAA、トレ中にEAAが良いという人もいれば、その逆の人もいる。
そのほかにも、EAAだけ飲んでいれば良いという人やBCAAだけで十分だという人もいるため、実際何がもっとも良いのかというのは明確には分かっていない。
そのため、いくつか摂取方法を試して一番しっくりきたものにするというのをオススメする。
トレーニングでもサプリメントでも結局は自分の体に合うかどうかがもっとも大切なため、あまり周りの意見に流されすぎないようにすることが大切だ。
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