「自分と未来は変える事が出来る」55歳、闘い続ける男”垣内孝”

「過去と他人は変える事が出来なくても、自分と未来は変える事が出来ると思います。新しいチャレンジをするのに、何歳になっても遅すぎるという事はありません。」(垣内孝選手)

 

今回は、2020 BESTBODY JAPAN 盛岡大会にて準グランプリに輝いた垣内孝選手にインタビューを行った。
55歳という年齢で大会で結果を出せる理由、いつまでも情熱を持って走り続けられる理由に迫る。
垣内孝(かきうちたかし)
1965年7月14日生まれ。宮城県出身。身長172cm。OFF期の体重は69kgでON期の体重は64kg。元マラソンランナー。好きな言葉は「自分と未来は変えられる!!自分を信じて前へ進め!!」

 


──ベストボディ、FWJ、サマースタイルアワード、フィットネススターと、数々の大会で素晴らしい成績を残されていますが、この成績についてはどう思っていますか?

日々のトレーニングや減量に励んだ結果として、一定の成績が残せた事は大変嬉しく思います。

ただ、昨年度はコロナの影響もあり、大会も延期や中止になったり、参加人数も少なかった事もあったので、真の勝負はまだまだこれからだと感じています。

 

──最も印象に残っている大会はありますか?

昨年、緊急事態宣言が解除となり大会が再開されての初戦となったベストボディーの盛岡大会で準グランプリを取れた事でしょうか。

 

──ステージに立ったときに感じることはどんなことですか?またバックステージで感じたことについても教えて下さい。

無事にステージに立てた事に対する喜びと感謝の気持ちが一番です。

ただ、当然周りの選手との比較ですから不安を感じる事もあります。
でもここまで来たら頑張った自分を信じて、全てを出し切るしかないって感じですかね。

 

──大会に出たときは緊張しましたか?

だいぶ大会慣れはしましたがそれでも毎回ステージでは緊張はしますし、マッスルコントロールで力みすぎなのか緊張から来るのか足や腕がプルプル震える事があります(笑)。

 

──緊張している時はどのように対処しますか?

決まったルーティーンはありませんが、大きく深呼吸したり大会終了後に食べたい物を考えたりして気持ちを落ち着かせます。

 

──大会に出るときはどんなマインドで出場されますか?

自分は、大会に出る事が日々のトレーニングや減量のモチベーションにもなっているので、大会自体はとても楽しみです。

トレーニングや体のコンディション、絞りなどに関しては、大会当日から逆算してなるべく計画的に調整をするように心がけています。

大会1~2週間前は肉体的にも精神心的にも一番きつい時期ですが、今までの努力を無駄にしない為にも「あともう少しの辛抱」と自分に言い聞かせてます(笑)。

前日や当日はジタバタしてもどうしようもないので、自分を信じて楽しむだけです。

 

──バックステージ、ステージに立った時に意識していることはなんですか?

バックステージではとにかくしっかりとパンプアップさせる事と、ステージ上ではジャッジに対して自分を上手くアピールする事ですかね。

 

──自分の戦略でうまくハマったなと思ことはありますか?

そうですね。
複数のカテゴリーにエントリーしたことですかね。

自分のボディに応じたカテゴリーがあると思うので、迷ったら複数エントリーもありだと思います。

 

──ずばり、勝つために大切なことはなんですか??

信頼のおける方からの指導や情報収集も必要ですが、結局のところコツコツと地道な努力の積み重ねなんだと思います。

やるかやらないかは自分次第!ですね。

 

──大会など間近で見ていて、この人はすごいなと思った方はいらっしゃいますか?

う~ん…個人名は中々難しいですが最近は20代前半位の若い子で大会に参加する人が増えてきているので、将来が楽しみですね。

 

──自分で感じている自分のカラダの一番の強み(ストロングポイント)は何ですか?

バック(背中)ですかね。

 

──自分のカラダの弱み(ウィークポイント)、もっと強くしたい部分はなんですか?

自分の課題はミッドセクションです。

 

──これから大会に出たい、また今後大会で勝っていきたいと思っている50代の選手はどんなことをするべきだと考えていますか?

若い世代と比べるとハンディキャップはありますが、目標を明確に努力を惜しまなければ何歳になっても結果は残せると思います。

 

──すこし幼少期のお話をさせてください。幼少期はどんな少年でしたか?

目立って前に出る様なタイプではありませんでしたが、スポーツは好きでした。

サッカーや野球なんかに明け暮れていましたね。

 

──それからどのように筋トレに出会い、ハマっていったのですか?

常に何か夢や目標がないと生きられないタイプで、バンド活動やバイクレース、カートレース等色々な経験して来ました。

ある時、メタボ体系になりつつあった事をきっかけにジムに入会し、有酸素系を中心にスタジオレッスンにも参加していましたね。
それからマラソンにハマって10数年でフルマラソンも70本以上完走しました。
自己ベストは3時間30分位です。

実は、マラソンの走り過ぎが原因で半月板を痛めて思う様に走れなくなってしまい、目標を見失っていた時に、筋トレにシフトしていった感じです。

本気で筋トレに取り組んでからは、まだ2年位です。

 

──大会に出ようと思ったきっかけなんだったんですか?

通っていたジムのインストラクターが元々大会で優秀な成績を上げている選手で、その方から勧めていただいた事がきっかけです。

 

──ご自身がもしかしたらコンテストで勝てるポテンシャルを秘めているかもしれないと思い始めたのはいつ頃からですか?

同年代となら対等に勝負出来るんじゃないかと思い始めたのは去年位からです。

 

──大会を見る側とやる側の一番の違いはなんだと思いますか?

やはり観客のみなさんは、チケット代を払って見に来てる訳ですからね。

選手としてステージに立つ限りは、真摯に取り組み、魅せるボディーメイクとステージングは必須だと思います。

 

──減量やトレーニングはとても辛いものですが、どうしてここまで情熱を注げるのですか?

減量やトレーニングで、自分の身体の変化を身をもって感じ取れるので、それ自体がモチベーションになりますね。

 

──筋トレをする前と始めた後で変わったことはありましたか?

身体の変化は勿論ですが、性格的にも自分に自信が持てる様になり周りの評価も変わった気がします。

 

──トレーニングを続けてきたことで得たものなどはありますか?

大会に出て入賞する事が出来て、賞状やトロフィー等、大人になると中々貰う機会がないと思うので嬉しいものだなと思いましたね。

 

──一般的に、トレーニングをしても何になるのだろうと考えている方も多いかと思いますが、それについてはどう思いますか?

自分も良く「何を目指してるの?」と聞かれる事はありますが、健康面は勿論、精神的にも強くなれると思いますし逆にやらない理由はないと思っています。

 

──まだ筋トレをしていない一般の方に筋トレをすること大会には出ることはオススメしますか?

大会に出る事が全てではないと思っていますが、一般の方でも体力増進や、成人病の予防等の観点からも、やらないよりはやった方が絶対に良いと思います。

 

──基本的な食事を教えてください

増量期の食事は基本的にはクリーンな食事内容を意識しつつ、中炭水化物・高タンパク質・低脂質を心がけています。
トレーニングの質を上げる為に、とくに糖質(炭水化物)は重要だと思っているので多く摂りますね。

減量期は炭水化物の量とタイミングで調整していきます。
基本的は内容は増量期も減量期も大きくは変えませんが、夜の炭水化物を抜いたり、トレーニングの前後だけに集中して摂るようにしたり、減量の進捗状況に応じてサプリメントも使用しますよ。

 

──何か食事を摂る時に気をつけていることはありますか?

揚げ物等は基本NGにしています。
脂質も必要ですが、MCTオイルやオメガ3系の良質の物を使っていますよ。

食べる順番等もベジファーストを意識して炭水化物は一番最後にします。
炭水化物に関しては、オートミールや玄米等をよく食べていますね。

お昼のお弁当は、主にブロッコリーと鳥胸肉が多いです。

 

──付き合いなどで外食をする場合に気をつけていることはありますか?

なるべく和食系の定食を選び、ご飯は小サイズに!っていう感じです。

 

──お酒を飲む席ではいつもどうされていますか?

お酒は糖質OFFの焼酎やウィスキーにし、つまみも揚げ物系はNGにしてます。
枝豆・刺身なんかをよく食べていますね。

 

──トレーニングのルーティンはどんな感じですか?

3分割です。

  • 胸・肩(フロント&サイド)
  • 背中・肩(リヤ)

この3つをを月~土でローテしてます。
基本日曜はOFFですが、減量期は有酸素入れますね。

腹筋は軽めですが、毎日帰宅後に入れてます。

 

──トレーニングのセットの組み方や重量&回数、インターバルやセット法についてこだわりがあれば教えてください

1種目3セットで回数は”限界+1回”にしてます。

ただ、10レップ以上で2セット行けたら次のトレーニングからは重量を上げるようにしてます。

インターバルは種目によって1分~2分です。

時間が足りない時には、ジャイアントセットやドロップセットも取り入れます。

 

──トレーニングで最も大切にしていることはなんですか?

フォームと腹圧は意識しています。
後は、しっかり効かせている筋肉を感じる事ですかね。

 

──普段から飲んでいるサプリメントを教えてください。

CLA、L-カルニチン、燃焼系サプリ、マルチビタミンあたりは常備してます。

 

──トレ前・トレ中・トレ後の食事とサプリメント(プレワークアウトなど)を詳しく教えてください

トレーニング1時間前位に固形物の糖質を入れて(高GI)、直前にはプレワークアウトの粉末を直飲みします。
プレワークアウトは最近はMUSCLETECHが多いです。

トレ中はBCAAも飲みますが、最近はEAAが多くなってます。
EAAはパワーハウスジムやレバレッジのVALXが多いですね。

トレーニング直後は、プロテインにグルタミンとクレアチンを一緒にシェイクして、糖質もここで入れます。

帰宅後は、なるべく消化に良い食材(タンパク質メイン)を意識して、必要カロリーを摂取します。

 

──体のコンディションを整えるために行っていることは何かありますか?

月に1~2回はマッサージ店に行ってほぐしたり、岩盤浴でデットクスしたりしています。

 

──体のコンディションを整えることでどんな変化がありますか?

精神的にもリラックス出来ますし、普段身体を固めて使う事が多いので軽く感じられます。

 

──体のコンディションを整えることについてどのようにお考えですか?

質の良いトレーニングを継続するには、コンディショニングも非常に大切だと思っています。
がむしゃらに追い込むだけだとフォームも乱れるし、怪我の恐れもありますからね。

 

──リフレッシュはどのようにされていますか?

減量末期以外は週に1回は好きなものを食べたり、アルコールを飲んだり、温泉に行ったりしています。

 

──リフレッシュは大切だと思いますか?

大切だと思います。

追い込むだけではどうしても精神的にも肉体的にもキツくなるし、バルクアップするにも、減量するにも身体の反応が鈍くなる気がしているので。

 

──現在の仕事は何ですか?

普通のサラリーマンで、物流会社の管理職です。

 

──その仕事をする上で、大会に出ることには良い効果はありますか?

特に直接的な効果はありませんが、商談の際の話題としては話のネタになります(笑)。

 

──仕事をしながら選手として大会に出ることはとても難しいことだと思いますが、どのようにしてクリアしていますか?

これに関してはむしろ逆で、仕事のストレスが筋トレや大会に出る事で軽減されたり、仕事のモチベーションになったりもしています。

 

──仕事、プライベート、トレーニングに優先順位をつけるとしたらどのようになりますか?またその理由も教えて下さい。

①仕事、②トレーニング、③プライベート、ですかね。

やはり仕事をして収入を得なければ大会に出れないどころかトレーニングもできませんので。
それに、トレーニングも他人にとってはプライベートに過ぎないので迷惑をかけない程度にやらなければいけませんよね。

 

──大会に出ることについてご家族や友人、周りの方はどのような反応をされていますか?

最初は驚かれたり、心配されたりしましたが、継続して大会に出て入賞もしたりして来ると、応援してもらえる様になりましたね。

 

──今後、フィットネス業界はどのようになっていくと思いますか?

形態別に細分化されて行くとは思います。
筋トレ&カーディオ系、スタジオレッスン系、とくにプライベートジム(パーソナルジム)は増えて行くのではないでしょうか。

24時間ジムも増えるでしょうね。

 

──あなたにとって筋トレとは?

生きている事を実感し、自分と向き合いながら生涯挑戦し続けるものです。

 

──50代の方にメッセージをお願いします。

過去と他人は変える事が出来なくても、自分と未来は変える事が出来ると思います。

新しいチャレンジをするのに、何歳になっても遅すぎるという事はありません。

自分で限界を決めてしまったらそこで終わり。

自分もマラソン始めたのも40歳を過ぎてから、筋トレにこれだけ本気で取り組んだのも50歳を過ぎてからです。
それでも大会で入賞出来るまでになりました。

ほんの少しの勇気と努力があれば、新しい何かが見つかるはずです。

 

──最後の質問です。今後の意気込みと目標、最終的にどんな存在になりたいのかを教えてください。

まずは入賞をし続け、優勝を目指して行きたいと思います。

そしてフィットネス業界が今以上に盛り上がって行ける様に、同年代の方々の希望となり、若い子達からは目標とされる様な存在になれるようにこれからもトレーニングに精進して行きます。

 


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文・編集:月刊 MEN’s PHYSIQUE 編集部 (@gekkan_mensphysique)

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